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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第1話 うぬぼれ銃士
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母を引き離そうとする男の顔面を、持っていた銃の銃身で殴りつけたのである。まるで、駄々をこねて親の手を振り払う子供のように。
 その一発は男のヘルメットにあるバイザーを割り――破片が、彼の右目の瞼を切り裂いてしまった。縦一文字の傷が生まれた右目から、鮮血が滴り落ちる。

 だが、その傷以上に。男は、少女の姿に胸を痛めていた。大切な家族を失う痛みを、己が身を以って学んでいるが故に。

「……」
「ひぐっ、うぅっ……お母、様ぁっ……」

 男の手から離れた少女は、もう動くことも自分を抱き締めることもない、冷たい家族の体を抱いてすすり泣く。男は右目から赤い雫を頬に伝わせ――少女に掛ける言葉を見つけられずにいた。

『こちら、EDF本部。飛鳥(あすか)隊員。飛鳥竜士(あすかりゅうじ)隊員。応答せよ!』
「……はい。こちら飛鳥」
『巨大生物の猛攻が続いている。急ぎ、戦線に復帰せよ!』
「わかりました。ただ、その前に彼女を……!」
『そのペイルウイングに構っている暇はない。その戦域からはすでにインベーダーの反応は消えている。今はこちらを優先しろ!』
「しかし、オレはッ……!」
『これは命令である! 本部の命令は絶対だ!』

 本部からの命令に対し、意義を唱えるも――聞き入れられず。男は、鎮痛な面持ちのまま踵を返す。軍人として、上官の命令は絶対なのだ。

(済まない……! オレは、何もっ……!)

 それでも。途中、何度も振り返り。
 男は未練を残すような思いで、彼女の元を去って行く。崩落して行く巨大な時計台を、その黒い瞳に映して。

 やがて。瓦礫に埋もれたこの世の地獄に――少女の慟哭だけが、絶え間無く響き渡っていた。

 ◇

 ――かつてこの星は、二度に渡る侵略戦争に苛まれていた。

 2017年5月17日、第一次インベーダー大戦。2019年6月12日、第二次インベーダー大戦。

 地球と呼ばれる星の中に住まう人類が、ようやく共存という永年の夢を叶えたその日に、惨劇は訪れたのだ。
 守ると誓った人間も、誓われた人間も、皆等しく炎の中に沈み、その未来と命を失って行った。

 インベーダーと呼ばれた外宇宙からの侵略者に立ち向かう、連合地球軍――EDFの隊員達も、この星の平和という理想に己の全てを預け……同じ未来を辿ったのだ。

 後の世に生きる人は、語る。これは神が人類に課した、生きる権利の是非を問う「審判」だったのではないか、と。

 ――そして。

 二度に渡る審判の戦いを駆け抜け、この星の平和と正義に身命を賭した、「うぬぼれ銃士」と呼ばれるEDF隊員が居た。

 己の胸に秘めた苛烈なまでの勇猛さと、擦り切れた一丁の小銃を頼りに、激動の時代を生き延びたその男は、審判の終わりと共
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