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ナニイロセカイ
肌寒い秋の日の出来事_。

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夏が終わりました




夏の間中頑張った蝉さんたちはこときれました




少し肌寒い秋の日




トントン。



階段を上がっていきます




トントン。



静かに一歩一歩ゆっくりと階段を上がっています



トント



目的地に到着しました。目の前は立入禁止と書かれた黄色いテープでとおせんぼ




ここは危ないからと封鎖された場所




でもそんなのわたしには関係のない話です




ビリビリとテープを引きちぎって




キィ





ドアを開けて中へ入いります




ビュゥゥゥウウ




冷たい風までがわたしを突き刺すようです




寒い 凍えそうなくらい 寒い



くちゃり ぐちゃり くちゃり




足元に 無数に 落ちている 蝉の死骸を踏みつけながら 前へ進みます




目指すは壊れて 歪んで 大きく開いた




ここと 向こう側を隔てる フェンス




一歩前へ足を踏み出すだけで もうその先はありません




上を見上げれば 雲一つない青い世界




下を見下げれば 部活動中かな?




運動部員たちがグラウンドで走り回っている 茶色い世界




ポタ…。ポタ…。





晴天の空




わたしの心はどんより曇り空




ポタ…。ポタ…。




雨がわたしの頬を濡らしています





フェンスの内側の世界からはチェシャ猫とハートの女王様の笑い声が聞こえてくるようです





もう一歩前へ足を踏み出せば





誰かが わたしの体をぽんっと押せば





ふわりと浮き上がった体は そのまま――




真下にあるアスファルトに向かって真っ直ぐに落っこちて行きます





このまま落ちれば即死は確定。あぁ……やっとこの不自由な世界から解放される




大粒の雨を降らしながらわたしは嘘しかうつさなかった瞳を閉じようと


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