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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―真紅の皇―
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「もう始まっちゃった!?」

 アメリカ・アカデミアの留学生用の学生寮に用意された、黒崎遊矢が使う一室の扉が大きな音をたてながら開かれた。扉からはスーツ姿の明日香が飛び込んできて、息を切らしてまで走ってきたらしい様子の彼女に、ペットボトルのミネラルウォーターを渡しておく。

「いや、ちょうど始まったとこ」

 至れり尽くせりなことに定評のある学生寮だったが、その一例でもあるテレビを指差しながら。テレビ内の番組ではプロデュエリスト同士の夢の決闘、などと題されており、まさに始まる寸前と言ってよい状態だった。

「勝てるといいわね……万丈目くん」

「ああ……」

 ミネラルウォーターを豪快に飲みながらもソファーの隣に座る明日香とともに、テレビの中で敵と対峙するプロデュエリスト、万丈目サンダーのことを固唾を飲んで眺めていた。プロデュエリストとして勝ち負けを繰り返してきた万丈目だったが、今回の対戦相手は――

『さあ始まりました! 期待の新人、万丈目サンダーが正体を隠した伝説のデュエリストと相対するこの企画! 今宵、万丈目サンダーに相対するは!』

 ――伝説のデュエリスト、という触れ込みの相手だ。要するにプロリーグに入ったばかりの新人が、正体を隠した高いレベルのリーグのデュエリストを相手にする、というバラエティーめいた企画だった。とはいえわりと好評な企画でもあり、呼ばれる新人も期待の新人という言葉は嘘ではない。

『ロード・オブ・ザ・レッド!』

 そうして日本語版の実況放送が対戦相手の名を高々と叫ぶとともに、デュエルステージに二人の姿が映される。万丈目はアカデミアでも着ていたノース校の制服でもある黒いコートであり、対する対戦相手はその名に相応しい《ロード・オブ・ザ・レッド》そのままの格好でいて。もはや二人のデュエリストの前に何を語ることもないとばかりに、実況も静まり返って二人の同行を見守っていた。

『サンダーだかヨンダーだか知らないが、この男城之……ロード・オブ・ザ・レッド! 全力で相手をしてやるぜ! 来な!』

『ならばこのデュエルで忘れられないように刻んでやる! 万丈目サンダーの名をな!』

『デュエル!』

万丈目LP4,000
ロード・オブ・ザ・レッドLP4,000

『オレの先攻!』

 先攻を取ったのは万丈目。プロデュエリストになろうが――いや、プロデュエリストだからこそ、あまりデッキのコンセプトは変わってはいないだろうが。伝説のデュエリストを相手にどのような初手で戦うのか、万丈目へと注目が集まった。

『オレはモンスターをセット。カードを二枚伏せ、ターンを終了する』

『へ! 守ってるだけじゃ勝てないぜ、オレのターン!』

 流石の万丈目も慎重になざるを得ないのか、守備
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