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彼岸花 [短編集]
楽しい野良猫生活をありがとう
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す。
猫たちの噂話で聞いた話。恋人は俺を捨てた後、自宅で首を吊って飼い主の後を追いかけたらしい。
……なんてずるい奴なのだろう。その話を聞いた時、どうせなら俺も一緒に飼い主の元へ連れって行って欲しかった。と、一晩中鳴いていたのを思い出す。

あれから沢山の猫を見送った。それと同じくらいに、沢山の新しい命を育てて来た。老いた猫は山へと消え、若い猫が町へやってくる。見送りと出迎えを長い事していると、俺はいつの間にやら町内最年長のボス猫となっていた。
前には誰もいない。後ろには沢山の後輩の猫たち。

「はいですニャ! ボス!」

ビシッと前足をのばし肉球を額に当てる。人間でいう所の啓礼にフッ、とくすり笑い。

「じゃあ、ちょっと山へ行ってくるわ」

ニャーーーと全員に聞こえるように大きく ひと鳴き

空を見上げ、天で待つ飼い主とその恋人の顔を思い浮かべ






                  「楽しい野良猫生活をありがとう―」
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