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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン80 学園英雄と邪魔の化身
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「あ、ちょいとそこ行く兄さん姉さん、観戦のお供にポップコーンいかがですかー?YOU KNOW謹製サンドイッチ、今ならお安くしときますよー」
「あ、サンドイッチを頂くノーネ」
「クロノス先生、お買い上げありがとうございまーす」

 デュエルアカデミアはこの日、いつになく熱気に包まれていた。デュエル場には全校生徒や先生どころかテレビカメラまでもが詰めかけ、その中央で対峙する赤と黄の2人がデュエルを開始するその瞬間を今か今かと待ちわびている。ポップコーンのようなおやつ類やサンドイッチなど軽食を山積みにしたトレイを持ち歩いて売りまわりつつ、チラリと時計に目をやった。
 ……あと5分で、このデュエルが始まる。それまでにこの中身を全部売り切れれば……じゃなくて。そもそも、なぜこんなことになったのか。デュエル場にいるいつも通りの十代とその真向いの黄色い人影、それはラーイエローの生徒ではない。なぜか無駄によくできたおジャマ・イエローの着ぐるみという無駄にシュールな格好に身を包んで憮然とした顔になっているのは、情けないことに僕もよく知ってる顔だった。

「……なーにやってんだか、万丈目ったら」

 僕が最後に彼に会ったときは、まだいつも通りの万丈目だったのだが。ラストスパートでの売り抜けを目指して体は積極的に動きつつ、頭の中ではあの日のことを振り返っていた。





「ええい、なぜこの万丈目サンダーともあろう男が!」
「るっさい万丈目!」

 ぼろいレッド寮の壁を通じてガンガン伝わってくる大声に僕がキレたのは、太陽もすでに天頂を通り過ぎて西の空へと次第に落ちかかってくるような、だけどまだ夕方と呼ぶにはあまりに早すぎる、そんなけだるい時間だった。レッド寮は数年前に僕が仕組んだ大改造により、2階の部屋の壁をいくつかぶち抜いて部屋数を減らす代わりに1部屋当たりの広さを倍にしてある。何をやってるのかは知らないが最初はあまり邪魔するのも悪かろうと部屋の隅に移動してやり過ごそうとしてみたのだが、十代は朝から釣りばっかりだし翔はブルーに移籍したしで誰も止めないのをいいことに苛立ちの声はいつまでたっても収まりそうになかったので、ついに僕が重い腰を上げたのだ。

「む、清明。何の用だ、今の俺は機嫌が悪いぞ」
「はいイエロー、今の通訳して」
『ん〜っとねぇ、万丈目のアニキったらここ最近ずっといろんな会社にプロデュエリスト契約の申し込みしてるんだけど、もう不採用通知だけでババ抜きできるぐらい集まっちゃったのよん。それでイライラしちゃってるわけ』
「ご苦労さん。で、何?申し込み?」
「ああ。聞けば天上院君や翔は、もう進路先を決定したそうではないか。ならばこの俺も兄者達との約束を果たしてカードゲーム界を制するため、プロデュエリストになる道をそろそろ確立
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