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泰平忍者
第三章
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「そうしたものですが」
「そうじゃがな」
「この道場の看板を見ますと」
「堂々としておる」
「ですな、確かに」
「何か違うと思うが」
 忍者、忍術としてはいうのだ。
「どうもな、しかしな」
「はい、ここまで来たからには」
「道場に入ろう」
「そしてこの道場の忍術をですな」
「見ようぞ、しかし甲賀か」
 看板に書かれている流派を見てだ、加納はあらためて言った。
「確かに幕府お抱えじゃが」
「最近密偵に働いてもらう位で」
「ただ禄をやってな」
「それだけですな」
「武士の身分じゃが」
 幕府が抱えているだけあってだ。
「しかしな」
「はい、忍の者としては」
「戦国の世の様な働きはなくなっておった」
「暗殺なり何なりは」
「そうしたことはなくなった」
 泰平になりだ、そうした働きを命じることもなくなったのだ。あくまで諸藩や天下の動きを探る位であるのだ。
「特にな」
「そしてその分ですな」
「忍の者達も暇になった」
「密偵といいましても昔と違い」
「諸大名の隅から隅まで見るものではなくなった」
 それこそお取り潰しを考えてだ、幕府はかつて豊臣家の家臣だった大名や伊達家や島津家、毛利家といった油断ならない大名家には何かあればそこで取り潰そうとしていて実際に幾つかの家は潰してきたのだ。
 しかしだ、今はそうした家もなくなりだ。島津や伊達、毛利は相変わらず気をつけているが天下自体が落ち着いたこともありそこまで見ることはなくなっていた。だから密偵もあっさりとしたものでしかなくなっていた。
 その分忍の者達の仕事も楽で暇になっていてなのだ。
「だからな」
「こうしてですな」
「堂々としておるのかもな」
「自分達が忍の者であると名乗ったうえで」
「道場を開いておるのだろう」
「思えば妙なことですな」
「実にな、しかしな」
 加納は徳田にあらためて言った。
「これも泰平の世だからこそということじゃな」
「こうして忍術の道場が堂々と出ておるのも」
「そうじゃ、ではじゃ」
「中に入りますか」
「そうしようぞ」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 二人は門を潜り整った武家のそれの様な庭の真ん中にある道を通った。そうして道場に入るとまずはだった。
 手裏剣を投げている黒装束の者達がいた、見れば手裏剣は木製であり的に向かって投げていた。そうした者が何人もおり。
 同じく黒装束姿で跳んだり跳ねたりしている者達がいた、その彼等を着物の白い総髪の男があれこれと教えていた。
「そうじゃ、よく狙って投げるのじゃ」
「落ち着いて的を狙うのじゃ」
「跳ぶのはより高くじゃ」
「そして降り立つ時はしっかりとな」
 こう話していた、加納はその老人を見て言った。
「あの者がじゃな」
「はい、この道場
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