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メタモルフォーゼ
第三章

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「絶対にね」
「地味じゃ駄目なのね」
「折角素材はいいんだから」
「人は内面っていうけれど」
「内面も大事だけれど同じ位よ」
「お洒落もなの」
「そうよ、ましてやあんたは素材はいいんだから」 
 実の母が見てもだ。
「そこはしっかりしてね」
「注目されないと駄目なの?」
「それで寄って来る悪い虫はどけてね」
 そのうえでというのだ。
「やっていかないと駄目なのよ」
「そうしたものなの」
「女の子はね。というかあんたもお洒落してどう?」
「何か楽しいわ」
「そうでしょ、あれこれ考える様になって」
「服とか髪型とかメイクとか」
「自分の励みにもなるしね」
 このこともあってというのだ。
「いいのよ、じゃあこれからもよ」
「お洒落も忘れずに」
「そうしていきなさい、あんた自身の張り合いの為にもね」
「じゃあね、お金のこともあるけれど」
 お洒落にはお金も必要だ、それで言ったのだ。
「ちゃんとね」
「これからはお洒落もしてね」
「女の子としてやってくわ」
 こう母に言って娘は家でもお洒落に励む様になった、そうして学校のトイレの鏡でも自分の顔をチェックして一緒にトイレに入った友人達にこう言うのだった。
「もっとアイシャドー赤くした方がいいかしら?」
「ううん、そうね」
「陽菜ちゃん赤似合うしね」
「そっちの方がいいんじゃない?」
「そうするわね、こうしたことを考えるのも」
 アイシャドーの色、つまりメイクをというのだ。
「いいわね」
「面白いでしょ、本当に」
「あれこれと考えてやってみるのも」
「地味でいくのも一つの道かも知れないけれど」
「お洒落もいいものよ」
「そうよね、じゃあお金出来たら新しいアイシャドー買って」
 今も鏡で自分の顔をチェックしながら言った。
「それでメイク変えてみるわね」
「そうしてみたらいいわ」
「その時のメイクの具合見せてね」
「ええ、そうするわね」
 笑顔で答えた陽菜だった、そうして友人達と明るくトイレを出てクラスで今度はファッション雑誌を開いて服の話をした。


メタモルフォーゼ   完


                2017・9・28
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