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迷路巡り
第三章
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「大阪ってこんなに何処も入り組んでるのかしら」
「ああ、それ京都と比べるとね」
「かなりよね」
「京都なんか道が碁盤になっててわかりやすいけれど」
「大阪は違うからね」
「奈良とか神戸とかと比べてもね」
「大阪って街全体が複雑よね」
「ごちゃごちゃしてるわ」
「どうしてこういう街なのかしら」
 すずはフリードリンクのジュースを飲みつつ思った、そしてテーブルの上に置かれているラーメンや蒸し餃子、唐揚げ等を見つつまた言った。
「大阪って」
「何処もかしこもごちゃごちゃで」
「迷路みたいよね」
「迷路好きなすずちゃんにはいいと思うけれど」
「それはね」
「どうしてかしらね」
 友人達も言う、こうした話をしながらだった。すずは今はなんばパークスの中で中華料理も楽しんだ。
 そして家に帰ってから兄にどうして大阪の街はあちこちが入り組んでいるのかを聞いた、するとこう言われた。
「それな」
「どうしてなの?」
「戦争の後の経済発展のせいだろうな」
 そこに理由があるとだ、兄は答えた。
「一旦空襲で焼けただろ」
「戦争の時でね」
「それでその後な」
「日本が豊かになって」
「大阪も発展してな」
「その中でなのね」
「人も店も増えてあちこちに進出してな」
 そうしてというのだ。
「店も出来てビルも建てられてな」
「今みたいになったの」
「それでだろうな」
「鶴橋の下とかも」
「あと地下鉄もな」
「ああ、そこもね」
 大阪の市営地下鉄についてもだ、すずは思った。
「迷路みたいよね」
「ごちゃごちゃしててな」
「戦争が終わってからなの」
「それまではどうだったかっていうとな」
「こんなにごちゃごちゃしてなかったの」
「そうみたいだけれどな」
「ううん、迷路みたいになったのも歴史があったのね。けれど」
 兄の話を聞いてだ、すずは笑ってこう言った。
「それは私的にはね」
「迷路好きにはだよな」
「いいわ」
 こう言ったのだった。
「そのごちゃごちゃした感じがね、それにね」
「それに?」
「何かこうして入り組んでいないと」
「大阪じゃないか」
「そんな感じもしない?」
「そうだな、奇麗にまとまってるとかな」
 そうしたものはとだ、兄も考える顔になってすずに話した。
「大阪って感じがしないな」
「ごちゃごちゃしてて入り組んでいてね」
「迷路みたいだな」
「大阪よね。考えてみれば私が迷路好きなのは」
「大阪人だからか」
「そうかもね、じゃあ今度の日曜も」 
 その時もというのだ。
「何処かに行って来るわ」
「今度は何処に行くんだ?」
「平野の方かしら。けれどあそこはまだましかしら」
「そうでもないぞ、あそこも場所によってはな」
「入り組んでるのね」
「ああ
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