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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第21話『奪われた流星の丘アルサス〜忍び寄る魔王の時代』【アヴァン 】
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た。
飽くなき輪廻のような戦いに、ヒトが疑問を抱くのも時間の問題であった。母のあたたかい肉体から生まれ出で、いずれ自我を抱く赤子の時のように、『何故俺達は戦う?頂いた勲章の為?王の命令だから?』という戦争へ疑問を抱いたヒトの『萌芽』も拓かれた。
やがて訪れた終戦と同時に、『戦争』によってそれまで安定を保たれていた地球上に、未曾有なる天災の事象が訪れる。

平和はそう長く続かなかった。―――――何故?

戦争終結による人工増加。加速する火文明。それらのもたらす、温室効果の含む二酸化炭素での海水上昇により、舟板のように漂う大陸は面積減少への拍車をかけられた。
前時代から続く、燃焼に伴う大気汚染。空を覆いつくす不純物が太陽を遮り、光合成を行えず発生する植物被害。これにより大地の汚染が加速度的に進み、作物ひとつ育たぬ死の国土が生まれた。

砂漠化。
温暖化。
寒冷化。

摂理を知らぬ咎人を裁く自然監獄。
そして――
ヒトの手など行き届いていない新鮮な土地を巡り、国々は再び剣を手に取った。これで戦争が起きないはずがない。

弱者たる小国に、強者たる大国が本能に抗えず訴える。――よこせと。

宇宙を形作る三柱の摂理。150億年前に栄華咲き乱れた機械文明が、宇宙空間から跡形もなく洗い流された、14回目の『新宇宙の孵化』を得たばかりの人類は、『だから』という回答に辿り着けなかった。黒竜の化身を覗いては――
恐らく、黒竜の化身にとって『何故』は愚問なのかもしれない。
直接的ではないにせよ、そうした知的生命体の自然破壊行為が、『古の時代』にて『造られし者』の活動を呼び覚ます結果につながった。
輪廻――摂理――遵守――そうした『宇宙の力学』より外れた者たち。人ならざる者。
戦争発端も、やがて魔物と呼ばれる彼等の発生原因も、黒竜の化身の『何故』には既に『理由』がついていた。

『古の時代』竜具もまた、そうした環境汚染と産業廃棄物たる『魔物』を『浄化』する目的で作られた。全ては生命体に『活力(エネルギー)』を注ぎ込む為に。

ただ、生命体を突き動かすのが活力である以上、『力学』が働く。
停滞した大気が循環して、不要な粉塵物を払拭することで、肺呼吸の為の空気を洗浄透過(クリーニング)する『銀閃』の力学。
膨大な熱量も拡散され、やがて冷却して結晶構造(クリスタル)を保ち、生体の増幅作用を与える『凍漣』の力学。
有機物を燃やし尽くすことで発生する灰が大地に溶ける必須元素(ミネラル)となり、生命の継続効果を維持する『煌炎』の力学。
放射した波長が波長分散(スペクトム)を得た電磁波となり、光酵素によって状態異常から神経回復をもたらす『光華』の力学。
暁の雷衝(インパルス)に作物成長の突破口を開き、冬の眠りから植生を目覚めさせ、実り
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