暁 〜小説投稿サイト〜
『塗り潰した7日間』
『本能』

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スカートのポケットを触ると何も無かった。
ブラの中に何かが在った。
『死んでも敵を討つ!!』
そう書かれたメモ。

誰の字なのかすら解らない。
自分の字か確かめることすら出来ない。
強い恨みを感じる字を眺める。
妙にチカラが湧いてくる。
躰中の血液が巡るのを感じる。

本能というものなんだろう。
理由が解らなくとも躰は解ってるということ。
だったら此処に居る人間が味方なわけ無い。
敵討ちすべき相手なんだろう。

結論は出た。
気付いたからには賢く立ち回らなければならない。
何の敵討ちか解らない。
其れでも何故か躰中から憎しみが溢れてくる。

とにかく其れを抑えて冷静に考えようとする。
夜、いつものようにコンビニの袋を受け取った。
冷静に、いつものように...。

父さんだと言っていた男は、あれから会いに来ない。
一か八か此の男に聞いてみた。
『私の父さんは来ないんですか?』

男は無言で私を見る。
駄目だったか...。
やられる?
そう諦めかけた時。
『昼に会った人の事?』

『はい、そうです』

そう言うと男は笑った。
初めて笑った...。
そして馬鹿にするように話し出した。

『君はお父さんが居ない。ずっと探し続けてる。君のことは何でも知ってる。あの人がお父さん?赤の他人、其れが真実。
君がそんな単純に騙されるとはね(笑)君は、あの人に殺される。でも今は殺さない。
ちょうど1週間、観察期間が在る。言ったことは実行する人...』

私は、男の止まらない言葉を遮る。

『待って待って待って!
父さんじゃないのは解った。殺す為に此処に居るのも解った。
今なんの記憶も無い。消えてしまってる!だから、殺される理由が解らん!
何でも知ってるなら教えて!』

男は終始上から目線だった。

『記憶が無いのは一時的。もうすぐ戻る。神経ショック起こしたせい。
君が殺される理由は報復。あの人の愛弟子が君の仲間に撃ち殺されたから。
まぁその君の仲間も、他の連中に撃ち殺されたけど。他に聞きたいことは?』

他に...?
此の人は、敵?味方?
味方なわけ無いか...

『アナタは私の敵で、あの男の仲間?』

また見下すように笑いながら答える。
『強いて言うならおもしろい方の味方』

カッコつけてムカつく。
でも利用できる。
『1週間の観察て何?』

『殺してしまう前に君の生体を知りたいってだけ(笑)』



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