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夢幻水滸伝
第十九話 四国上陸その十一

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「空と海から攻め」
「そしてですね」
「そのうえで」
「上陸だが」
「腕が鳴るねえ」
 吉川の横で玲子が笑って言ってきた。
「今か今かってね」
「楽しみか」
「ああ、松風にはまだ乗れないけれどさ」
 愛馬である巨大な黒い馬だ、神具ではない。
「それでもね」
「火事場に飛び込む戦だからだな」
「戦の中でもそうした戦が一番好きだからね」
 それ故にというのだ。
「本当に楽しみだよ」
「そうか、では今からな」
「切り込み隊を率いてだね」
「四国に上陸する用意をしてくれ」
「それで命があったらだね」
「即座に切り込んでもらう」
「わかったよ」 
 玲子も応えた、そしてだった。
 戦の用意に入った、綾乃は空から敵軍を見つつ言った。
「ほなそろそろ」
「はい、一気にですね」
「空からですね」
「まずはですね」
「攻めるか、頼むで」
 大蛇達に言った。
「今から」
「はい、それでは」
「これからです」
「我等が仕掛けます」
「この八つの頭で」
 その八つの頭での返事だった。
「空からです」
「思う存分仕掛けてやります」
「頼むで。けれどうちがこうして出陣出来る様になるなんて」
 綾乃はここで状況の変化について思った、関西のそれに。
「変わったな」
「はい、中里氏が来られてですわ」
「状況が変わりました」
「これまでは芥川殿と二人だったので」
「四方に敵を持っていて迂闊には攻められませんでした」
 神星が二人いて他にも多くの星達がいてもだ、関西は地理的に四方に敵を抱えていて積極的に攻められなかったのだ。
「勢力は確かに日本で第一ですが」
「東海、北陸、山陽、そいして四国とです」
「敵が多いですから」
「そやさかい積極的に攻められませんで」
「やっと山陰をどうにか出来た位でした」
「うちはいつも都におってな」
 主として政に携わっていたのだ。
「太宰君と内政してて」
「その内政も整い」
「そこに中里氏も来てです」
「ようやくです」
「主殿も動ける様になりました」
「ほんまになあ、内政整って人も増えて」 
 特に中里の加入が大きいのは言うまでもない。
「それでやな」
「攻められる様になりました」
「今みたいに」
「そえで実際にです」
「主殿も出陣出来てます」
「そやな、ほな今からな」
 ここで綾乃は眼下を見る、海岸の敵は一万数千はいる。こちらの数は二万だが地の利を考えると彼等の方が有利だ。
 だがその有利な敵を見つつだ、こう言った。
「攻めてな」
「承知」
「わしの力四国でも見せたります」
「この八岐大蛇の力」
「今から」
「うちも術使うし」
 早速だ、綾乃は右手を己の顔の高さに掲げた、掌の上に青白い気の球が出来ている。氷の力だ。
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