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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Bパート 】
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【深夜2:00・ジスタート・ルヴーシュ・バーバ=ヤガーの神殿入口】











「これで分かっただろう?今の貴様ではテナルディエ・ガヌロンには到底敵わない」

密談を終え、すれ違い様に凱へ忠告するシーグフリード=ハウスマンの姿があった。
言われてみれば……いや、言われなくとも分かっている。それは、凱自身が身を以て痛感した。
かつてテナルディエ軍がアルサス侵攻した時、凱は元『帝国戦士団』ノア=カートライトと一戦交えたことがあった。元々ノアとシーグフリードは同じ団に所属していた。それどころか、シーグフリードとノアは団長と団員の間柄……いや、ノアの『天譜』の才能を書き記したのもシーグフリード本人だ。
アルサス防衛戦でノアには押され気味の引き分けで終わり――
今回のバーバ=ヤガー神殿における遭遇戦で、シーグフリードに『勇者』では歯が立たず、『王』に目覚めてもほぼ互角だった――
すれ違い様に凱の肩をパンと叩くと、シーグフリードは一言吐き捨てていった。

「……代理契約戦争時代(むかし)のお前に――期待しているぜ」

銀髪鬼の言葉はこれで終わらない。

「だからさっさと『勇者』を辞めて『王』に戻っちまえ」

しばし茫然として凱の視線は彼から離れなかった。
不思議だった。一瞬緩んだかに見えたシーグフリードの目元を見ると、凱にはそうなぜか思えて仕方がない。以前のシーグフリードなら決してここまで言葉を投げかけたりしなかった。それは、少なくとも凱のどこかを認めている故の『声援(エール)』かもしれない。それとも、単なる気まぐれなのか――
いずれにせよ、どのような知略を立てたところで、ノアやホレーショーといった『一騎当千』、『百戦錬磨』の力を持つ猛者達の戦いは避けられない。
踵を返す「人ならざる者達」の団長の後姿を見送る凱であった――

―――そして、今度は『国王』が『獅子王』に別れの言葉を送る番となった。

「ではまた―?『月の欠けた夜』にヴァレンティナを向かわせよう」

月の欠けた夜……つまり、三日月が訪れるのは約一か月後。お互いの動向と銀の逆星軍対応を考えれば、それくらいの期間が適切かもしれない。

「――虚空回廊(ヴォルドール)

袈裟斬りにエザンディスを一閃する虚影の幻姫。裂かれた空間からそれぞれを送り届ける『通用口』が開かれる。
長い会合を得て今後の方針が定まった皆は、それぞれの活動場所へ戻っていった。
ただ二人、『王』と『戦姫』が残ったまま――

「シシオウ君……」

かすれた声で王は勇者の手を両手で抱え込んだ。次第に、冷たい涙の滴がぽたぽたと垂れていく。
落ちる滴の冷たさに、秘められた想いの暖かさが感じられたのは、これが本当のジスタート王の心なのだろうか?

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