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武闘派ガール
第三章
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「もうこれで安心だから」
「何から何まですいません」
「いいのよ、こうした時こそね」
 美紀は後輩の娘に微笑んで話した。
「人は動くべきなのよ」
「そうなんですね」
「悪を見て何もしないのは悪であるってね」
「悪を見て、ですか」
「そうよ、若し何もしないのなら」
 それこそというのだ。
「渡しマーシャルアーツしてるでしょ」
「はい、私もそう聞いています」
「それで心身を鍛えているけれど」
「そうする意味もですか」
「ないわ」
 まさにとだ、美紀は後輩の娘に話した。
「だからよ」
「こうした時ですか」
「動かないわ、あとね」
 美紀はさらに話した、青空の下で屋上の金網のフェンスに背をもたれかけさせて立ってベンチに座っている後輩の娘と向かい合って話している。
「私マーシャルアーツは使わなかったわね」
「はい、あの時は」
 スマホでいじめの現場を撮影して通報しただけだった。
「それだけでした」
「それはどうしてかわかるかしら」
「いえ」
「使う状況じゃなかったからよ」
「だからですか」
「それはしなかったの」
 いじめグループをマーシャルアーツの技で叩きのめさなかったというのだ、実は美紀は内心そうしたかった。
「ああした時に使えば暴力で傷害罪になるし。それに」
「それにですか」
「汚い連中を殴ることもないからよ」
「だからですか」
「ああしたの。しかも一番効果的だったし」
 警察に通報して少年院に送ることがというのだ。
「連中は何もかもなくしたでしょ」
「ご家族は皆何処からに引っ越して」
 家まで群衆が来ての連日連夜の抗議にたまりかねてだ。
「それで」
「言うけれどいじめで少年院に入ったら酷いわよ」
「そうなんですか」
「逆に自分達がいじめられるから」
 少年院の中でというのだ。
「そうなるから」
「だからですか」
「自業自得になるわ、あの担任も終わったりし」 
 懲戒免職になったというのだ。
「だからね」
「もうこれで完全に」
「心配はなくなったわ」
「そうですか、ただ」
「ただ?」
「私もういじめられたくないです」
 後輩の娘はここでこう美紀に申し出た、顔を上げて。
「ですから」
「まさかと思うけれど」
「強くなりたいです、先輩みたいに」
「そう、じゃあね」
「マーシャルアーツ教えてくれますか?」
「今日からジム来る?」
 美紀は微笑んで後輩の娘に応えた。
「そうする?」
「いいですか?」
「マーシャルアーツ、格闘技は暴力じゃないのよ」
「心と身体を鍛えることですね」
「そうしてもう二度といじめられない様になるのね」
「そうしたいです」
「わかったわ、格闘技はその為のものでもあるし」
 心身を鍛えいじめられたり危害を加えられ
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