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半ズボンの裾が
第二章

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「どっちかになるのよね」
「これって究極の二択じゃない」
「夏にジャージは暑いっての」
「そりゃ太腿も出すことになるけれど」
「大阪の暑さ甘く見るな」
「そうそう」
「膝までの丈なら」
 恵里佳は再びぼやいた。
「こんな心配しなくていいのに」
「ちょっと暑そうだけれどね」
「半ズボンよりも」
「スパッツはスパッツでライン見えそうだし」
 下着のそれがだ、このことも気になるといえばなることだった。
「今の半ズボンはね」
「ちょっとやばいわね」
「どうしてもね」
 こう話していた、とかくだった。
 半ズボンの裾のことは恵里佳にとっても他の女子達にとってもどうにかならないかというものだった。それでだ。
 恵里佳は思い余って職員室に行ってバレー部の顧問の先生にこのことを話した、するとその三十代の女の先生はこう恵里佳に言った。
「ううん、そうなの」
「そうなのって」
「いえ、半ズボンでもそうしたお話出るのね」
「半ズボンでも?」
「そんなに気になるの?」
 先生はこう恵里佳に聞き返してきた、逆に。
「半ズボンで」
「ですからお話してますけれど」
「実は先生が中学の時に親が同じ様なことを言ってたのよ」
「先生のですか」
「もう二十年前ね」
 その頃の話だというのだ。
「当然結婚して子供も産まれる前よ」
「その頃ですか」
「そうだったの、ブルマって知ってる?」
「ブルマ?」
 その単語を聞いてだ、恵里佳はまずは目を瞬かせた。そうして怪訝な顔になってそのうえで先生に問い返した。
「漫画のキャラの名前ですか?」
「あの漫画のキャラの元ネタよ」
「そうなんですか」
「昔は半ズボンじゃなかったのよ」
 先生は恵里佳にこのことから話した。
「それを穿いてたの」
「それどんなのですか?」
「見た方が早いわね」
 先生はこう言って自分のスマホを出してそこに画像を出してそれを恵里佳に見せた、すると恵里佳はその画像を見てびっくりして言った。
「あの、これって」
「水着か下着みたいでしょ」
「まんま下着ですよ」
 画像に出ている濃紺のその服はそれだった、色だけは恵里佳達が穿いている半ズボンと同じものである。
「これじゃあ」
「ええ、かなりいやらしいわよね」
「下着姿で授業出てるのと同じですよ」
「昔はそうだったのよ」
「昔はって」
「それで裾もね」
「こんなのじゃ」
「すぐにめくれるわね」
「めくれるっていうかずり上がって」
 それでというのだ。
「半ズボンよりずっと」
「下着見えるわよね」
「お尻だって」
 下着どころかというのだ。
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