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言えない告白
第四章

[8]前話
「だからね」
「もうですか」
「そう、ここにいることはね」
 最早というのだ。
「ないから君ともね」
「これで、ですか」
「お別れよ、気持ちは受け取ったけれど」
 それでもというのだ。
「応えられないわ」
「そうですか」
「悪いけれどね」
「いえ」 
 徹二は里奈の言葉と返事を受け取った、そうしてだった。
 晴れ渡った顔になってだ、里奈に言った。
「有り難うございます」
「お礼を言ってくれることは」
「気持ち、聞いて受け取ってくれましたから」
 だからだというのだ。
「ですから」
「それでなのね」
「お礼言わせて頂きました」
「そうなのね」
「じゃあ」
「ええ、これで」
 こう言ってだ、そしてだった。
 徹二は里奈から深々と頭を下げてだ、それからだった。彼女の前を去った。もう振り向きはしなかった。
 そのうえでクラスメイト達のところに戻ってだ、彼は微笑んで言った。
「言ってきたよ」
「そうか、そうしてきたんだな」
「そうしてきたか」
「ああ、振られたさ」
 あえて笑って話した。
「もうな」
「そうか、じゃあ卒業パーティーだ」
「パーティーに行こうな」
「カラオケボックスでな」
「そこで楽しもうな」
「それじゃあ」
 こう話してだ、そしてだった。
 徹二はクラスメイト達と共にカラオケボックスで卒業パーティーを楽しんだ、そうして全てを忘れた。そのうえで新しい門出に向かった。覚悟を決めたその後で。


言えない告白   完


                2017・4・23
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