第十八話 瀬戸内の海戦その二
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「ええのう」
「はい、自分からですね」
「助かる為に動く」
「頼りなということですね」
「それが筋じゃ、人は助かりたいなら自分で動くんじゃ」
そうすべきだというのだ。
「そしてじゃ」
「助ける方もですね」
「見捨てるなですね」
「そういうことじゃ、そうしながらじゃ」
救助活動で軍の速さは遅くなる、正岡はこのことは承知していた。
だが、だ。彼はそれでもと言うのだ。
「前に進むんじゃ」
「そうしてですね」
「敵に近寄れば」
「そしてその時こそ仕掛ける」
「そうしますね」
「そうじゃ、やったるきにのう」
正岡はまた言った。
「四国モンの戦と強さ、見せたるわ」
「そうですね、ですが」
僧侶の術で防壁を出してだ、織田は砲弾を防いでいた。そうしながら隣にいる正岡に言ったのだ。
「この状況では」
「わし等が出来るだけ砲撃防いでるがのう」
「半分程です」
「こっちの水軍は術使えるモンが少ないわ」
「特に砲撃に対することが出来る術は」
砲弾に当てて相殺したり防いだりする術がだ。
「そこまでの術を使える方が」
「そうじゃのう」
「泳ぎ達者は多いですが」
「それが仇になっとるな」
「そしてです」
織田はさらに言った。
「沈んだ船から逃げた兵や死んだ兵の亡骸を回収しつつでは」
「わかっとるわ」
正岡ははっきりとした声で答えた。
「そのこともな、しかしのう」
「見捨てることはですね」
「そんな薄情は嫌いじゃ」
忌々し気な口調でだ、正岡は織田に言った。
「わしが一番嫌いなことじゃ」
「だからですね」
「人は見捨てんわ」
誰一人としてというのだ。
「何があってもじゃ」
「だからですね」
「一人も置いたらいかん」
今度は兵達に言った。
「仲間見捨てたら後で後悔するのわかっとるな」
「今はよくとも」
「それでも」
「そうじゃ、だからじゃ」
正岡は強い顔で語る。
「見捨てた奴はわしが許さんわ」
「はい、わかりました」
「絶対にそうします」
「そのうえで、ですね」
「前に進みますか」
「術を使うんじゃ」
捜索対象を突き止める術、そして相手を召還する術だ。前者は僧侶の後者は超能力者の術だ。
「その二つの術も使ってじゃ」
「はい、探します」
「そうしていきますか」
「ええな、一人も見逃したらあかん」
海に出てしまった者は誰でもというのだ。
「自分がそうなったらどうじゃ」
「そうですね、では」
「探していきましょう」
兵達も正岡の言葉に頷いた、そしてだった。
四国の軍勢は海に出てしまった仲間達を見捨てることなく助け出しつつ進んでいた、その状況を見てだ。
正岡は冷静な声でだ、こう言った。
「戦としてはよくない」
「ああ、あ
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