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レーヴァティン
第十七話 学術都市その八

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「スラムって訳じゃないにしても」
「何だこの感じ」
「変だな」
「ダウンタウンです」
 順一はいぶかしむ顔で北東の街並みを見回る二人に話した。
「ここは」
「ダウンタウン、下町か」
「そこか」
「スラムとまではいきませんが」
 しかしというのだ。
「簡単に言うと低賃金労働者や商人、職人が住んでいる場所です」
「長屋か?日本で言うと」
 智は順一の言葉を聞いて言った。
「そんな感じか」
「そうなりますね、実際に」
「そうか、けれどな」
「長屋よりもですね」
「柄が悪い気がするな」 
 時代劇等で観る長屋よりもというのだ。
「妙にな」
「確かに治安は中心地より悪いです」
 このことは事実だとだ、順一も話した。
「犯罪も多めで警察も目を光らせています」
「やっぱりそうか」
「しかし中心地よりもということで」
「極端にはか」
「はい、悪くありません」
「悪めって位か」
「それ位です、スラムではないのです」
 そうした極端に治安が悪い、貧困の為にそうなっている場所ではないというのだ。順一は智にこのことも話した。
「そこまで治安は悪くありません」
「それがダウンタウンか」
「そうです」
「ダウンタウンとスラムは違うか」
「スラムはこの世界にもありますが」 
 貧困が存在しない社会も存在しないということだ、社会主義国家ならば貧困は存在しないが誰もが貧困を言えば貧困になるだろうか。
「こうした場所ではありません」
「より、ですね」
「治安が悪く雰囲気もです」
「悪いか」
「こんなものではないです」
「そういえば目が荒んでたり死んでる奴はいないな」
 智は今度は住人達の目を見て言った。
「別にな」
「そうですね、食うや食わずわまでとはいきません」
「ただ収入が悪いだけか」
「この街の平均と比べて多少」
「それだけだからか」
「まだ余裕があり」
 雰囲気的にも場所的にもというのだ。
「ですから」
「それで、か」
「これ位なのです」
「そうか、そういえば俺達がいてもな」
「特に見られていませんね」
「ああ、狙う様な目じゃないな」
「スラムは生きるか死ぬかです」
 食うか食われるか、この島のスラムはそうだというのだ。
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