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俺の四畳半が最近安らげない件
次元の果てのトランクルーム
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として、翔は誘拐されたのでは……!!


手近にあったスノーボードを引っ掴み、なぎ倒した。
「翔、翔―――!!!」
漫画本も本棚も炬燵も、次々なぎ倒した。俺はどんな恐ろしい表情をしているのだろう。担当者が、俺を覗き込んで小さく悲鳴をあげた。
荷物という荷物はひっくり返したのだが結局、翔は出てこなかった。それでも諦めきれず、荷物を掻き分ける。
「どういうことだ!?翔は、翔をどこにやった!?」
担当者はヒィ、と息を呑み、ぐるぐると周囲を見渡した。そして何かに思い当たったかのように顎に手をあてる。


「大変申しあげにくいのですが……息子さんは、異次元獣に遭遇してしまったのかもしれません」


異次元獣だ!?
「な…何云ってんだ、異次元空間に危険はないと…!」
「契約の段階で申し上げた筈です!…まだ色々分からない空間だと。だから人間が故意に四次元を移動することは禁止されているのです!」
「そういうのは後で聞く!異次元獣ってのは何だ!!」
「…人が時間を移動する時、その人自身も、異次元に住まう生き物に認識される、云うなれば『異次元人』になります。ここで云う異次元獣というのは、異次元に住む生き物全般の事を指します」
「そいつらは危険なのか?」
「うぅむ…何と云えばいいのか…取りあえず分かっていることを云えば…今まで見つかった中で一番大きいものは、狸くらい」
「たぬき」
「攻撃を受けたという報告はありません。むしろ近寄るとふわふわ逃げます」
「ふわふわ逃げる」
「一番よく遭遇するのは、蛾に似た感じの3センチくらいの異次元獣ですね」
「蛾がいるのか!?」
「厳密には蛾じゃありませんよ。我々が知る生き物の中では蛾が一番近い、というだけで」
「蛾と何が違うんだ、具体的には」
「脚が17本あります」
「なにそれきもい」
「しかもこいつは刺すんですよ!刺されるともう、かゆくてかゆくて」
「そんなもんかよ」
「洒落にならないんですよ!!私、研修中に尻を刺されて酷い目にあったことが」
「だからそういう話は後で聞く!!…その蛾だか狸だかは狂暴な生き物じゃないんだろ!?ならばどうして息子は居ない!?」


―――私たちがまだ遭遇していない、未知の異次元獣と遭遇した、とは考えられませんか。


そう云って担当者は言葉を切った。心なしか顔が青ざめている。
「……どういうことだそりゃ」
喉が震えて大声が出ない。翔、俺が目を離したばっかりに…周りの景色がぐるぐる渦を巻くような錯覚に襲われた。
「先程も申し上げたのですが、まだよく分からない空間なんです。見つかっている異次元獣よりも、大型で、狂暴なものが存在してもおかしくありません」
「なっ……!!」
「いずれにせよこの問題は、四次元トランクサービス開始以来初め
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