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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第89話 灯り
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奴らの好きにはさせないから
私も手を貸すよ

******

「!?」
気絶をしていた警策が身体の重量感と戦いながらユルリと目を覚まして起き上がった。
「だ、大丈夫ですの?こちらに!」
心配そうに湾内が警策の腕を取ると屋上への出入り口の扉へと引っ張り込んだ。
「......?」
気だるい感覚に痛みに近い神経刺激が強めに影響している中で先ほどの強烈な情景が脳裏を掠めていると目の前に顔にヒビが入った禍々しいオーラを放っている鎧武者が横切っている。

き、危険だわ......
息が上手くできない

力をある者に媚びて、生き残りを画策するのを得意とする警策は一瞬で無理だと判断した。
どんなに力があろうと、どんなに覇権を握っていようが関係ない。
相手は人の命を虫けら同然に扱う恐ろしき猛獣に近い。
根本的に人の価値観、倫理観が欠如もしくは皆無の人間......いや、人間ではない何か。

「サソリさん一人で大丈夫ですの?」
「分かりませんわ......どなたか助けを呼んだ方が宜しいかと思いますが」
「携帯電話は繋がりませんし、この暗闇を走っていくのも無理そうですわ」

鎧武者の禍々しいオーラで辺りが辛うじて照らされているが扉から先の階段やフロアは一寸先は闇状態でとてもではないが壁伝いで確かめながらしか進むことができない。
「せめて停電が復旧してくだされば手立てはありますのに......」
婚后は扇子を開くと伏し目がちに口元を隠した。

停電......
それにサソリって確か

「こいよ寄生虫野郎が!」
ビルにチャクラ吸着で垂直に立っている赤毛の少年が舌を出して、不敵な笑みを形にすると華奢な腕で手招きをしている。
その双眸に見覚えがあり、一瞬だけ焚き火の燻った匂いが鼻をツーンと刺激した。

明かりを灯して

その眼は間違えようとしても間違えようのない代物。
彼女の動機でもあり、原因でもある存在だ。

「ラ、ララ?」

何かを察したかのようにポケットから繋がらないはずの携帯電話を取り出す。
見てくれなんか気にしていない非常に強い電波を発信する携帯だ。

理性的じゃないってバカにするが良いわ
自分の目的が叶うならどんな悪魔にだって魂を渡してやる!
あれが私の幻覚だろうが
亡霊だろうが関係ない!

「点けてやるわよ......こんな腐った世界が終わるんなら何個でも点けてやるわよ!」

パスコードを入力すると規則正しい電子音が流れていく。
それはソプラノ声のように高く。
遠くまで響きそうな旋律だった。

『了解しました。電力を復旧をします』

電話口から聴こえてきたのは電気系統を担当する御坂妹。
配電盤を操作し、グリーンランプが完全に点灯しているのを確認するとスイッ
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