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秋祭り
第六章
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「やっぱりね」
「いるの」
「だって。日本の神様って八百万っていうじゃない」
「やおよろずの神様ね」
 青空はこの言葉は知っていた。日本の神道はとにかく多くの神々がいる。古事記や日本書紀を読むと神々の多さに驚くまでに。
 そのことを知っているからだ。青空も言う。
「じゃあ一人か二人は?」
「たまたまこの神社に来ているとか」
「たまたまって」
「だって。八百万もいるのよ」
 神様もそこまでいればだというのだ。
「いると思うわよ。どうするの?」
「そうね。それじゃあ」
「お願いする?そのことも」
「うん、するわ」
 少し考えてからだ。青空は未来に答えた。
「私も女の子だから。女の子だと」
「恋とかそういうことには」
「憧れるから」
 お酒をどれだけ飲んでいてもだ。それでもだというのだ。
「お願いしてみるね」
「それがいいわね。じゃあ私もね」
「未来も誰か好きなの?」
「実は。もう彼氏いるのよ」
 未来は照れ臭そうに笑って爆弾発言をした。
「同じ学年の。芝君と」
「えっ、何時の間に」
「ちょっと前に。私から告白してね」
「嘘・・・・・・じゃないわよね」
 青空は栗を落としそうになるまで驚いてだ。未来に問い返した。目が点になり口も大きく開いている。そこから白い虫歯は一本もない綺麗な歯が見える。
「それって」
「うん。言おう言おうって思ってたけれど」
「何と。そうだったの」
「そうだったのって。青空凄く驚いてるわね」
「驚かない筈ないじゃない」
 これが青空の返答だった。
「そんな。自分からって」
「好きだったから。それで」
「いや、それでじゃないから」
 青空は唖然としたまま言っていく。
「何ていうかね」
「驚いたあまり?」
「そうよ。酔いが醒めたわ」
 実際にだ。青空の顔は少し赤さが弱まってきていた。
「何ていうかね」
「そうなの。酔いが醒めたの」
「全く。驚いたあまりね」
「御免なさい、本当に隠すつもりはなかったのよ」
「いいわよ、謝らなくても」
 青空はそれはいいとした。しかしだ。
 難しい顔になりだ。こうも言うのだった。
「けれどね」
「けれどって?」
「そうよ。さっき他のこともお願いするって言ったけれど」
 未来が先程受験のこと以外のこともお願いすると言ったことをだ。青空は問うたのである。
「それってどういうことなのよ」
「どういうことって。つまりはね」
「つまりは?」
「青空に素敵な出会いがあって」 
 そしてだと。未来は青空に対してにこりとした笑みで話す。
「素敵な彼氏ができますようにって。お願いさせてもらうわ」

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