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俺の涼風 ぼくと涼風
16. ちょっと行ってきます
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「えーと……摩耶と榛名から……妙な報告を受けたんだが……」

 朝の執務室。東向きの大きな窓からは、とてもまぶしい朝日が差し込む。もう冬真っ盛りだから外は寒いはずなのだが、お日様の光の強さだけで見れば、今日はまさに小春日和と言ってもいい晴天。窓のそばでお日様の光を全身に浴びれば、ぽかぽかと温かく心地いい。

 自身の席に座る提督の前には、私と、ゆきおが並んで立っている。私は少々後ろめたくて、提督の顔をまっすぐ見ることが出来ず、うつむき気味の上目遣いでしか、提督の様子を伺うことが出来ない。

「妙な報告って?」

 一方のゆきおは、胸を張って、妙に堂々と佇んでいた。服はいつもの純白の室内着に、クリーム色のカーディガン。その細っこく華奢な身体は普段と変わらない。だけど背筋を伸ばして堂々と佇むゆきおは、普段よりも、少しだけ背が高く見えた。

 そのゆきおが、提督の顔をまっすぐに見つめながら、提督の質問の真意を問いただす。なんだかゆきおの方がスゴミがあって、提督の方がおっかなびっくり……といった具合だ。

「……お前らさ。昨晩、一緒に、その……寝たって?」
「うん」

 提督の恐る恐るの質問に対し、ゆきおは堂々と、ハッキリと答えていた。そこには、私のような後ろめたさはない。

 昨晩、ゆきおにあの日の話を聞いてもらった私は、久しぶりの睡魔に身体を委ね、心地良い安心感の中で眠ってしまった。ゆきおもその後すぐ眠ってしまったらしく、私とゆきおは昨晩、一緒のベッドで、一緒に眠った。

 そして今日。私があまりに起きてこないため、業を煮やした摩耶姉ちゃんが合鍵を使って私の部屋に踏み込んだそうだ。そこに私の姿がないことに愕然とし、榛名姉ちゃんとともに鎮守府内を探しまわったらしい。

 ひとしきり鎮守府内を探しまわった後、『もしや』と感じるものがあった榛名姉ちゃんが、ゆきおの部屋を覗いてみたところ……ベッドの上で大の字になって歯ぎしりしながら爆睡している私と、その隣で身体を縮こませて耳をふさぎながら、それでも熟睡し寝言を言っているゆきお……そんな私たち二人の寝姿を見たらしい。

『んぎぎぎぎぎぎ……ッ!!!』
『んー……しおこぶ……ニヘラぁ』
『てや……んで……ゆきおッ……ギリギリギリギリッ!!!』
『ちょ……待って……ホットケーキが……すずか……ぜ……に……ッ!?』

 私が昔のように、盛大に歯ぎしりを鳴らしながら寝ていることに安心しつつも、その大騒音の中でも平気で寝ているゆきおに戦慄を覚えたと、後に榛名姉ちゃんは語ってくれた。

 榛名姉ちゃんは摩耶姉ちゃんに事の次第を相談。それを受けて摩耶姉ちゃんは……

――面白そうだ 提督にチクってやろうぜ ニッシッシ

 と桔梗屋から山吹色のおまんじゅうを受け取る悪代
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