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夢幻水滸伝
第十七話 淡路合戦その十一

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「船を動かせない、泳げないではだ」
「水軍は出来ないね」
「話にもならない」
 それこそというのだ。
「それではな」
「だから船の動きはだね」
「泳ぎもな」
「やらせてきたんだね」
「歩くのとは違う」
 吉川は強い声で言った。
「だからその分訓練も必要だ」
「それはやってきたんだね」
「そうだ、しかしやはりな」
「瀬戸内でいつも動いてた連中と比べたら」
「比較にならない」
 その練度はというのだ。
「そこはわかっている」
「そうなんだね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「そのことも頭に入れてだ」
「戦いを考えているんだね」
「敵を知ってこそ戦になるな」
「その言葉本当に好きだね」
「好きだ、己を知れもな」
 孫子のこの言葉をだ、吉川は実際にまた言った。
「好きな、私の座右の銘だ」
「それでそのことからだね」
「今も戦う、敵がどう動いてもだ」
「対するんだね」
「その通りだ、鉄砲隊も多く用意してある」
 彼等もというのだ。
「敵が近寄って来るならだ」
「そのときはだね」
「大砲で攻撃出来なくなったらな」
「鉄砲で撃つんだね」
「そうするつもりだ」
「揺れて狙いも定まらないだろ」
 玲子は船、海の上で時には激しく揺れる場所で鉄砲を撃つとどうなるかを吉川に対して言った。
「そう言ったら大砲もだけれどね」
「そうだな、しかしだ」
「それでもかい」
「それも考えてある、大砲もそうだが」
「狙いは定めずにだね」
「相当な腕がないと狙いは定められない」
 船の上で鉄砲を使ってもというのだ。
「だからだ、数を撃つ」
「そういうことだね」
「弾幕を張る、陸での三段撃ちの時と同じだ」
「どんどん撃ってだね」
「そうして攻める」 
 敵が近寄った時はというのだ。
「そうする」
「そういうことだね」
「そして船に上がって来たり炮烙なりを投げようとするならな」
「炮烙の時も鉄砲で撃てるね」
「弾幕を張る様にな、船に上がろうとするなら」
「あたしの出番だね」
「その時は頼む」
 玲子に顔を向けて言った。
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