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SAO−銀ノ月−
心中
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には、いつの間にやら撮影用の《記録結晶》が握られていて、問いかけたキリトへニッコリと笑い返した。 恐らくは戦闘中に撮影したリーベの姿が収められているのだろうその《記録結晶》で、シノンが発案した計画を実行に移そうとしているのだろう。

「あいつがデジタルドラッグの密売人だってことは自分で認めてるんだし、あとはセブンから運営に報告して貰えばいいじゃない」

「……難しいわね」

 デジタルドラッグの密売人としてリーベを告発し、運営によるアカウントの削除を行ってもらおうという、リーベが何を狙っていようが全て無為に出来る安全策……この世界に限れば。もちろん俺からすれば不完全燃焼にも程がある終わり方だが、リズからすればそれが最も望む結末であろう。しかして肝心の運営とのパイプ役であるセブンは、あからさまな険しい表情を作り上げていた。

「え……どういうことよ」

「実はデジタルドラッグを使ってるプレイヤーは、もうリストアップ出来ているの。波長が他のプレイヤーと違うから」

 問いかけるリズへの答えとして返ってきたのは、何やらプレイヤーの名前が書かれたリストだった。波長というのはキリト以外には分からない専門用語だったが、どうやらそのリストアップされた一覧は、デジタルドラッグを使っているプレイヤーだ、ということぐらいは分かる。問題は、どうしてそんなリストをこちらに渡してきたかだが、不審げながら数はあまり多くないリストに目を通してみれば。

「ちょっと……」

「俺の……名前……?」

 ……そのリストの中に表示されていた一覧には、ショウキという名前がしかと刻まれていた。当然ながら他人の空似という訳でもなく、名前とともに表示されているIDは俺のものと変わりはない。つまり、俺はデジタルドラッグを使用しているプレイヤー、という扱いになっている……らしい。

「一応、聞いておくけど……使ってないわよね?」

「当たり前でしょ!」

「……リズ。ああ、使った覚えはない」

「……もしかして、《SAO》の時のバグか……?」

 恐らくはこのことの確認について、セブンはここで待っていたのだろう。そんなセブンの問いについつい熱くなってしまったリズをたしなめながら、記憶を思い返すもののデジタルドラッグなどに関わった覚えはない。そもそもデジタルドラッグの存在を知ったのも、先日あった、グウェンからの忠告が始めてだ。どこからか迷いこんだかと思えば、キリトから思いもよらぬ意見が放たれた。

「……ごめんなさい」

「リズ……ううん。あたしも無神経だったわ。それと……ええ。あたしもそう思う」

「…………」

 セブンの肯定とともに、恐る恐るこちらを振り向くリズに頷いて――自身のアバターの心臓部に触れる。そこに例のバグがあるわけ
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