暁 〜小説投稿サイト〜
シベリアンハイキング
カラケレイト
峠を目指して

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イェカサの町を背に、北へ向かう。暫く進むと道の両脇に石柱がおかれている地点に差し掛かる。“冬季、積雪、土砂崩れ多発。危険のため通行禁止”と彫られていて、赤いロープが両脇の石柱に縛られていて、道を塞ぐ格好になっている。ユスフは馬から降りると手綱を引きながらそのロープをくぐり抜けて進んでいくことにした。更に数時間後、町で買ったコートは厚手であるものの、風が随分冷たく感じるようになる。辺りは木々が疎らになり、変わって刺々しい岩が目立ってきた。整えられた道は無くなり、砂利道が続く。そして、いよいよ植物が生息出来ない高さまで進んだ時、周りには濃い霧が広がっていた。その時である。霧の中から何かが自分に近づいている気配をユスフは感じたのだった。
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