暁 〜小説投稿サイト〜
北欧の鍛治術師 〜竜人の血〜
聖者の右腕W
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として失敗し、雪菜を抱えて後ろに数メートル転がる。もちろん地面は瓦礫の山なので相当痛い。
「先輩、なんできたんですか??」
「こういう時普通は来るもんじゃないのか」
「先輩はあの怨霊が眷獣の能力を引き継いでいる可能性は考えなかったんですか??実際怨霊は神格振動波術式(DOE)使ってましたし!そうなればあれの前では先輩はちょっと頑丈な一般人なんですよ!」
「まあ・・・どうにかなるだろ」
「そんなのだから先輩はいつもいつも・・・!」
古城が横向きに雪菜を抱えて雪菜は雪菜で転がる際に古城にしがみついていたので第三者(オイスタッハ)から見ればラブラブな恋人の痴話喧嘩にも見えなくもない。故にいつ声をかけるか気を使わざるを得ない。オイスタッハの心労は溜まってゆくばかりであった。
「お二人とも、来ますよ!」
古城と雪菜が怨霊の方を見ると2つの顔の間からタコの口のような鋭い牙の生えた円状の穴から光線のようなものを発射しようとしていた。
「離してください先輩!」
「離したらお前また突っ込んでいくだろ!」
古城は怨霊に背中側を向けて雪菜を守る体制になった。そして、怨霊が光線を目の前に向けて発射したーーーーーー






















かのように見えた。確かに熱と衝撃はあったし、見れば古城スレスレで地面が赤熱して融解している。怨霊の背後にはもうもうと立つ砂煙。これを撃ったのが怨霊ではないことだけは明白だった。怨霊は顔と口があった部分がごっそり削れて何かで貫かれたような状態になっていた。断面からは魔力と元の眷獣の体液が血のように溢れ出して周囲を汚している。そして何より奇怪なのが怨霊があんな状態でも生きているということだった。4本の腕を振り乱しながら苦しんでいる。発声器官は消し飛んだので声は出せないがもし健在であれば相当な声をあげていただろう。そして怨霊が腕を振り上げて周りの地面を壊し始めた。そして呆然としていた古城がいる場所にも腕を振り下ろそうとした。しかし、それよりも早く何かが怨霊を潰した。巨大な足だ。暗い紺色の甲殻に鋭い爪。そしてその足は怨霊を背後の砂煙へと引き摺り込んで行った。呆然としたまま十数秒が経った頃。砂煙の中から空に向かって赤い光線が放たれた。収まりかけていた砂煙は衝撃で完全に消え去り、中から現れたのは無惨な程に細切れにされた怨霊の死体とその上に立つ巨大な竜。腹側が白、背中側が紺色の甲殻を持つ巨大な竜。左右7対の紅く光る眼とその後ろには山羊のような巻き角その後ろにまた1対の眼。体よりも大きな翼を持った巨体だった。竜は硬直している古城たちを一瞥したあと空高くに舞い上がり、雲の上に姿を消した。
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