暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第五章 Over World
似て非なる物だと知るがいい
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

アッパーカットの要領で、蒔風の胸にキュゥべえの拳が突き刺さる。


その衝撃に蒔風が、空気と一緒に声を吐きだして倒れる。



バシャァと、背中から後ろに地面に落ちる蒔風。
呼吸が詰まったのか、胸を押さえてゴホゴホと咳をする。


「え・・・・?」

なのはが間の抜けた声を出す。



そう
たったのそれだけなのである。

殴られた蒔風は、なんの変哲もなくその痛みに胸を押さえ、目には苦しそうに涙が少し溜まる。
ペッ、と口の中に溜まった血を吐きだし、また咳をした。

その蒔風の音中をなのはがさすり、咳も次第に小さくなっていく。


四つん這いになりながらも、蒔風が胸を押さえてキュゥべえにニヤリと笑った。


「ゴホっ・・・どうしたキュゥべえ・・・・エネルギーが落ちているぞ」

「な・・・これは・・・・」


そして、なのはが改めてキュゥべえを見た。
そこには


「これはなんだ!?」

黒く蠢く、泥のようなエネルギーが、キュゥべえの右腕をザワザワと包み込み、その範囲を増やして浸食して行っていた。


疑問しか出てこないキュゥべえ。
その彼に、蒔風が答えを提示してやった。


「たとえエネルギーになったとしても、どれだけの時を経ようとも・・・・・その思いが消えることはないってことだ」

「なに!?」

「お前が手を出したものはな、インキュベーダー。そう言うものなんだよ」


パチャン、と静かに立ち上がる蒔風。
「山」の効果で多少脚も回復させてもらったなのはも、その隣に立つ。


「人の想いは消えはしない――――たとえそんな形にされたって、どれだけの時が経ったって!!彼女たちのそれを都合のいいように扱ったお前を、彼女たち自身がそれを許すはずがないだろう――――!!!」


蒔風がはは、と軽く笑い、くしゃ、と髪をかき上げながら語る。


「彼女たちの希望が、そしてその願いが、たかだかエネルギーにされて消滅するなんて、そんなことなかったんだ。彼女たちは、今だって戦っているんだ。その運命と!!自らをこんな姿にした、その元凶と!!どんなことになっても戦い続けているんだ!!」


蒔風の瞳が、まっすぐにキュゥべえを射抜く。
が、当の本人はその腕の処理に忙しいらしい。

バタバタとうろたえるそれに向け、蒔風がはっきりと言い放った。


「キュゥべえ、それが呪いだ。それが怨嗟だ。お前の知らない、感情の力だ」

「なぜ・・・だ!!」


ボトリと
キュゥべえが自らの腕を切り落とした。

黒いエネルギーはキュゥべえのその腕をボロボロと崩して、やがてちりも残さす消滅させる。


「こんな・・・こんなおぞましいモノ、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ