暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第55話「テロへの抵抗」
[1/9]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話








       =一夏side=





「.......。」

 ベッドの上で、ぼうっと天井を見上げる。

   ―――せいぜい、後悔しておくんだね。自分が何をしでかしたのかを。

「俺が....仕出かした事....。」

 マドカに言われた事を、ふと呟く。
 ここは“インフィニット・ストラトス”の世界。...ずっと、そう思ってきた。
 だけど、度重なる原作との相違点。
 イレギュラーな存在である桜と秋十(あの二人)
 ...それらが、その思い込みを完膚なきまでに砕いた。

「...俺が、原因....。」

 “原作”では、ISを認めさせるために束さんは全世界をハッキングした。
 けど、この世界では、女性しか乗れない欠陥を直すまで発表するつもりはなかった。
 ...俺が、特典としてもらった洗脳を使ったから、こうなった。

「....はっ、“原作”...か。」

 思わず、自分の考えていた事を鼻で笑う。
 ずっと見ていなかった、気づいていなかった。...そんな“フリ”をしていた。

「...ああ、心のどこかでは分かっていたさ。この世界は、そんな“物語”の世界なんかじゃないって事ぐらい...。」

 第一に、双子の妹としてマドカがいた時点違っていた。
 それを、俺は都合のいいように考えていただけに過ぎない。
 臨海学校での束さんの言葉で、それをしっかり自覚させられた。

「....は、はは....。」

 今の自分の惨めさに、笑いが漏れる。
 幸い、この部屋は防音だ。こんな自嘲的な笑いは誰にも聞こえない。

「何、が“主人公”だっ!!頭沸いてるのか畜生が!!」

 まさに、“どうかしていた”。
 “転生”に浮かれたからか?ネット小説の読みすぎか?
 ...俺が、“主人公”に憧れてたからか?

「人を“洗脳”して!家族を蹴落として!!そんなものになれる訳ねぇだろうが!!その挙句自分の思い通りに行かなくて癇癪を起す!?...ハッ!見事な“踏み台”っぷりだなぁ、おい!」

 壁を殴りつけ、惨めなまでに自分を罵倒する。
 ...あぁ、分かっていたさ。俺なんかが“主人公”の器になれないって事ぐらい。

「...ホント、惨めだな、俺。....なんで、ここまで落ちぶれなきゃ、気が付けねぇんだよ...。....くそ....。」

 企みを悉く潰されて、蹴落とした弟に負けて。ISに乗れなくなって。
 姉にも妹にも見限られ、軽蔑と憐みを向けられて....ようやく...!

「気づくのが、遅すぎなんだよ!!このっ、大馬鹿野郎がぁっ!!」

 今度は、壁じゃなく、自分を殴る。
 ...傍から見れば、気が狂ったと思える程滑稽だろう
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ