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俺の涼風 ぼくと涼風
4. 海に出たことのない艦娘(1)
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 二人で紙飛行機を飛ばした日から私は、足繁くゆきおの部屋に通うようになった。ノースリーブでいるのがそろそろ肌寒くなってきた11月中旬の今日も、私は、ゆきおの部屋へと向かう。

「へへ……ゆきお、喜んでくれっかなー」

 今日はゆきおへの手土産がある。ゆきおの部屋に遊びに行くといったら、鳳翔さんがこっそりくれた、豆大福。以前食べた時は、たくさん入った豆の塩味がほんのり効いて、あんことお餅の甘さが口いっぱいに広がる、とても美味しいものだった。これならゆきおも喜んでくれるだろう。豆大福が入った紙袋を手に下げ、私はゆきおの部屋を目指す。

 いつものように階段を駆け上がり、三階のゆきおの部屋の前に来た。中からなんだか話し声がポソポソと聞こえる気がする。

『ここの生活はどうだ』
『楽しいよ。友達も出来た』

 一人はゆきお。いつものように、とても優しい、でもよく通る声だ。おかげで、ドアの向こう側にいる私の耳にも声が届く。もう一人は提督かな? そんなに性格が似てない感じがする二人だけど、声の感じはよく似ている。二人とも、静かだけど、よく通るキレイな声だ。

「おーい! ゆーきおー!!」

 そして私はいつものように、駆逐艦に相応しい、単装砲の砲撃のようなノックを響かせ、部屋の中の二人に聞こえるように、大声でゆきおに呼びかけた。

「はーい。涼風?」
「そうだー。ゆきお、今日も来たぞー」
「はーい。どうぞー」

 最近は、ゆきおも『だれですか?』と確認しなくなってきた。私の声だって分かってくれているようだ。私はゆきおの返事を受け、ドアを開く。

「よっ。涼風」
「や。涼風」
「おーう。ゆきおと提督ー」

 部屋にいたのは、思ったとおり、ゆきおと提督だ。ゆきおは今日も変わらずベッドの上に腰掛けていて、今日は淡いブルーの上下の部屋着を着ている。肩にはもちろん、いつものクリーム色のカーディガン。ベッドのそばにあるソファに座る提督は、いつもの純白の制服だ。帽子は頭にかぶらず、自分の膝の上においている。

「雪緒から聞いてる。お前、しょっちゅうここに来てるんだってな」

 なんだかいつもと違って、とっても柔らかい微笑みの提督がそう言う。提督はいつも朗らかで優しいけれど、ゆきおの部屋にいる提督が見せる表情は、いつもの朗らかな表情よりも、さらに優しく見えた。

 提督の問いかけには『うん』と適当に相槌をうち、私は提督の隣にボフッと腰掛ける。ここのソファは柔らかい。ある程度勢い良く座っても、柔らかいソファが沈み込み、こちらを優しく抱きとめてくれる。

「涼風、それは?」

 カーディガンを羽織ったゆきおが、私が持ってる紙袋を指差した。私の気のせいなのかもしれないが、ゆきおの鼻がひくひくと動いた気がした。ひょっとし
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