暁 〜小説投稿サイト〜
シベリアンハイキング
カラケレイト
エレンスゲイ湖畔

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一ヶ月の後、ユスフは馬上で船を漕いでいた。勤め先の学校や、自分の家があるクレルバートルの町を出たのが今朝の五時でそこから半日程経っていた。馬はテール河にそって北へ進む。旅程では本日は野宿で一泊 、明日は北にあるイェカサの町に泊まる。日が陰ってくると風が急に冷たくなり目が覚めたので馬を急かす。クレルバートル、イェカサ間の往来は中々の混雑で収穫物を満載したトラックが過ぎたと思えば、台車を引くロバの一団とすれ違うこともあった。夕方になる頃にユスフは夜営地についた。エレンスゲイ湖は全くもって静かである。焚き火を起こし、持ってきたパンに炙ったチーズを乗せる。ハムを火にあて焦げ目をつけ頬張る。一しきり食事が終わり、さて寝るかという時に載ってきた馬が突如として、唸る様に、そして悲鳴でもあげるかの様に鳴き出した。狼だろうか。すぐに散弾銃を手に取り、馬の睨む方へ銃口を向ける。しかし、その方角の先には湖しかない。次の瞬間ユスフは奇妙なものを目の当たりにする。人が湖の対岸から駆けてくるのである。
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