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ちいさな家
ちいさな家
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やさしい家と、ちいさな女の子のおはなし。











むかしむかし



小さな森の小さな丘の上にちいさなお家がありました。



そのお家にはひとりの女の子がすんでいました。



女の子はピンクが好きで、その家は中のお部屋も、外の壁もピンクでした。



家も女の子が好きなピンクを気に入っていました。



家は女の子に話しかけます。



「ひとりでさみしくはない?都に行けばたくさんの人間がいて、いろんな楽しいことがあるんだよ」



「ううん。さみしくなんかないわ。家さんがいるから、わたしは一人なんかじゃないもの。都に行かなくても毎日楽しいわ」



女の子の答えを聞いて、家は女の子のためには都に行った方がいいと思いながらもほっと安心しました。家は動くことができないので、女の子が都に行ってしまえは一人ぼっちになってしまうからです。



そんなある日、ちいさないえに都からおふれが届きます。



「どうしたの?泣きそうな顔をして、なにかあったのかい?それにそれはなんだい?」



「これは、ペンキよ。家の壁は、黒に塗らなければいけないのですって」



「どうして?」



「そういうきまりだからよ」



そう言うと女の子は、壁にペンキを塗りだしました。



かわいらしいピンクの家が、真っ黒に変わっていきます。女の子はぽろぽろと涙をこぼしながらペンキを塗り続けました。



家は、とてもとても悲しい気持でした。



決まりって何だろう。



どうして、好きな色のままじゃ駄目なんだろう。



人間の世界のことなどよくわからない家は不思議で不思議でしょうがありませんでした。



そして、ちいさなピンクのお家は、真っ黒に塗り替わりました。



黒いお家は、時折身震いして黒のペンキをぱらぱらと落とします。



そうすると女の子が悲しそうな顔をするので、そんな顔は見たくないとは思うのですが、たまにどうしても我慢が出来なくなりそうしてしまうのです。



「ああ、また、ペンキを塗りなおさなければいけないわ」



「どうして。そのままでいいじゃないか」



「だめなのよ。見つかったら大変なことになるわ」



「でも、最近きみはあまり笑わなくなった」



「そんなことないわ」



そう言って女の子は笑います。でも、家は女の子の笑顔が前と違うと気づいていました。



どうしたら女の子が心の底から笑ってくれるのだろうと家は
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