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フォース・オブ・ザ・ガーリー
000_プロローグ
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 やぁ、はじめまして。私は時空間学者のショーン。2097年の未来から来たタイムトラベラーだ。といっても簡単には信じられまい。しかし、まずは私の話を聞いてほしい。
 私は元いた時代で主に時間と空間について研究をしていた。まだ知名度はないが、私と比べればアインシュタインなど遠く及ぶまい。
 私の研究の最終目的は、安定したタイムワープ法の究明だったが、とある実験の途中で私は偶然、時間の中に時々“歪み”が発生するのに気付いた。
 “タイムパラドックス”を知っているだろうか? 本来等速で進む時間に逆らう現象によって起こり得る時間の矛盾をさす。しかし、タイムワープの実例もいくつか確認されている私の時代では、このタイムパラドックスは起こらないというのが最早世間の常識となっている。
 話を戻そう。時々発生する時間の歪み。私はこれをタイムパラドックスの影響だと推測している。そう、机上の空論に過ぎなかったあのタイムパラドックスだ。
 さて、ここでひとつ勉強をしよう。時の流れに逆らい未来や過去を行き来するタイムワープだが、これにはいくつか種類がある。私の時代で確認された実例はほとんどが次元転移装置、いわゆるタイムマシンを使って体ごと時間を行き来したもので“タイムトラベル”と呼称されている。かつてのSF作品でもこれが主流だろう。ちなみに、実際にこの方法で時を越えるとタイムパラドックスは起きない。
 2050年にいる男が2000年に飛んだとしよう。仮に彼の生きている世界を“A時空”とするなら、飛んできたのは“B時空の2000年”――平行世界(パラレルワールド)となる。A時空にいた彼がB時空でなにをしようと、例えばまだ恋人関係の頃の両親の仲を引き裂き結婚を破談させようと、それによって変わる未来はB時空の未来であり、A時空の彼には何の影響も起きない。つまり、産まれて来ないはずの男によって結婚を破談させられたという矛盾(パラドックス)は起きないんだ。
 ではなぜ、実際にはタイムパラドックスの影響とみられる現象が発生しているのか。これが二つ目のタイムワープと関係する。
 話は逸れるが、君たちの時代ではまだタイムワープやタイムトラベルといった言葉の違いは明確には区分されていなかったね。まぁフィクションだけの時代だ。無理もないだろう。
 私の時代では次元転移装置を使った時間移動を“タイムトラベル”、なんらかの超自然的な力が作用した時間移動を“タイムスリップ”、そういった時間の移動に関する現象を総じて“タイムワープ”と定義付けられている。これらは全て平行世界論に当てはまっているため、再三言うようだがタイムパラドックスは起こらないとされている。
 ところが、私は時間の歪みの研究中に従来のそれとは異なった、全く新しいタイプのタイムワープを観測した。その名も“タイムバック”。体ご
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