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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv53 クリーストの使者として
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の女神なのか、という疑問です。とはいえ、これらすべての謎を解く必要は、今はありません」
「今はない?」
「はい。今、俺達が知らなければならないのは、この3つの内、たった1つだけで良いんです」
「1つだけ……ま、まさか」
 生唾を飲み込む音が2人から聞こえてくる。
 俺は頷くと言った。
「ええ、1つだけです。もうお分かりですね、2人共。それが解明できれば、ほぼ全ての辻褄が合うことになります。ですから、この遺言が真実かどうかがわかると言っても、過言ではありません」
「し、しかし……どうやってそれを調べればいいのかが……俺にはわかりません」
 アヴェル王子はそう言って項垂れた。
 ウォーレンさんも同様であった。
「お前、簡単に言うがな……そんな事調べたら、間違いなく異端者と認定される。この国は官民一体で3000年もの間、それを続けてきたんだぞ……」 
 2人は苦悩に満ちた表情であった。
 こうなるのも無理はないだろう。
 重苦しい静寂が、この室内に漂い始める。
 暫しの沈黙の後、アヴェル王子が静かに口を開いた。
「……物事には原因があって、必ず結果がある……。コータローさんは昨日、そう仰いました……。今、イシュマリアで起きている異変……俺は、こうなった原因を知り、何とかしたい。そう考えると、この遺言は決して無視できるものではない。これが事実なら、今起きている異変に密接に関わってくるからです。イシュマリア国3000年の歴史を否定する事になるかもしれないが、俺は国を治める王の嫡男……真実が知りたい。だから、俺は……この疑問をなんとしてでも解明しようと思います」
 アヴェル王子の目は真っ直ぐであった。
 強い意思持つ者の目となっていた。
 だがしかし……俺は王子のこの目を見て、少し後悔したのであった。
 なぜなら、ヴァロムさんのやろうとしている事は、恐らく、遺言の疑問を解明する事に、他ならないだろうからだ。
(アヴェル王子に嘘を吐いてるような気分で辛い……だが、ヴァロムさんの計画は他言できない。それに……このままだと、ヴァロムさんの計画に支障が出る可能性がある……どうすればいい……)
 俺が悩む中、ウォーレンさんが意を決したように口を開いた。
「王子……私も手をお貸しますよ」
「すまない、ウォーレン」
(不味い……2人はやる気だ。この様子だと、止めるのは難しい。余計なことを話したか……。仕方ない。なんとか、引き伸ばしてみよう)
 俺は見えない交渉を開始した。
「良いのですか? これを調べるという事は、かなり危険な道を進む事になりますよ。失敗すれば、幾ら王族といえども、異端審問裁判に掛けられるかもしれません。それでも調べるのですか?」
 2人は頷く。
「覚悟の上です」
「俺も覚悟を決めた」
 予想通りの答えが返っ
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