暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv43 魔窟からの帰還( i )
[2/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たいのは、この杖の存在を黙っていてほしいという事なんです。ですから、魔物が人に化けるという噂程度なら構いませんよ」
「ああ、そういう事ですか。でも……となると、どうやってバルジ達に説明するといいか」
「まぁモノは言いようです。似たような事を言えばいいんですよ。魔物に変装して中を調査してきた……とかね。俺としては、変化の杖について伏せておいてほしいだけですので」
「なるほど……。ではそうします」
「でも、バルジさんに今回の事を話しても、聞き入れてくれるかどうかわかりませんよ。その事実を知ったら、なんとしてでも討伐に向かうというかもしれません。いや……冒険者階級最高峰の肩書がある彼等の事だから、そう言う可能性の方が高い気がしますね。こうなったらもう、そう簡単に説得はできないでしょう」
「そ、それは……」
 4人は無言になった。
 バルジさん達のパーティは冒険者階級最高峰の白金らしいから、そういったプライドもある筈だ。
 なので、火に油を注ぐパターンも大いにあり得るのである。これは難しいところであった。
「まぁそういう可能性もあるという事です。それはそうと、ラッセルさん。さっき剣聖・ゼーレと言いましたが、何者ですか?」
「ああ、そういえば、コータローさんはマール地方出身でしたね。知らないのも無理ないです。剣聖・ゼーレとは、その昔、オヴェリウスにいた凄腕の魔導騎士の事ですよ」
「へぇ、魔導騎士の名前だったんですか」
 ラッセルさんは頷くと続ける。
「ええ。実は今から500年ほど前、あの洞窟に魔物が棲みついてですね、オヴェリウスに脅威が迫った事があったそうなのですが、その時、魔物達を退ける為に多大なる貢献をされた魔導騎士がいたのです。その方が剣聖・ゼーレなんですよ。とはいっても、その当時は剣聖なんて肩書じゃなく、魔導騎士団長という肩書だったそうですがね。まぁ要するに、そのゼーレ騎士団長が指揮する部隊が、あの洞窟に棲みついた魔物を一匹残らず掃討した事から、後世になってゼーレ洞窟という名がついたんです」
「ふぅん……なるほどねぇ。ン?」
 と、その時であった。
 頭上からバサバサという羽音が聞こえてきたのである。
(魔物か……)
 俺は上に視線を向けた。
 すると、枝葉の隙間から、空を飛ぶ2体のライオンヘッドが視界に入ってきたのである。
(俺達に気付いたか? いや、コッチを見てなかったから違うな。何だ一体……)
 程なくして2体のライオンヘッドは、俺達の休んでいる付近に舞い降りた。
 俺はそこで唇に人差し指を当て、静かに、というジェスチャーをした。
 4人と1匹は無言でコクリと頷く。
 それから俺は木の陰に隠れ、ライオンヘッド達の様子をそっと窺う事にしたのである。

 ライオンヘッドが降りた場所は、木々の間に幾つかの大き
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ