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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv18 旅の決断
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 宿屋を出た俺とアーシャさんは、フィンドの町外れにある丘のような場所へとやってきた。
 その丘は、フィンドの町並みを見渡せるくらい見晴らしの良い所であった。が、ここはそれと同時に、沢山の墓が並ぶ共同墓地となっており、辺りは少し寂しくもありながら、おどろおどろしく不気味な雰囲気が漂う所であった。
 で、なぜこんな所に来たのかと言うとだが……風の帽子を使う為に人気の無い場所を探して移動していたら、ここに辿り着いたという単純な話なのである。というか、宿屋の近辺だと、ここが一番人気のない所だったのだ。
 ちなみにだが、周囲にある墓は石版を墓石として使うタイプの物が殆どで、勿論それらの墓石には、没年と故人の名前と手向けの言葉が彫りこまれていた。早い話が、映画でよく見るアメリカの墓地みたいな所なのである。
 日本の墓地しか行った事のない俺からすると、凄く新鮮な光景であった。
(墓の中からゾンビでも出てきそうな墓地だな……ドラクエ世界だから、腐った死体とかが出てきそうだけど……)
 まぁそれはさておき、墓地にやってきた俺は、周囲に人がいないかを念入りに確認する事にした。
 見回したところ、今が夕暮れ時というのもあってか、この墓地は誰もいないようであった。
 だが慢心は足元を掬われるので、本当に人がいないかどうかを、ラーのオッサンに確認してもらう事にしたのである。
「オッサ……じゃないな。ラーさん、周囲に人の気配は感じるか?」
「大丈夫だ。この近辺に人の気配はない」
「じゃあ、大丈夫だな。……フォカール」
 俺はフォカールを使い空間に切れ目を入れると、そこから風の帽子を取り出し、アーシャさんに手渡した。
 だがアーシャさんは受け取るや否や、恐る恐る、周囲の墓に視線を向けたのである。
「す、すぐに戻ってきますので、少しの間、ここで待っていてくださいね。も、もも、戻って来た時……ここにいなかったら怒りますわよッ」
 この様子を見る限りだと、アーシャさんは幽霊とかが怖いのかもしれない。
 普段のアーシャさんから考えると意外な一面だが、こういう部分は女の子らしい可愛いところである。
「わかってますって、どこにも行きませんよ」
「で、では行ってきますわ」
 その直後、アーシャさんは一筋の光となって空に舞い上がったのである。
(さて……アーシャさんが戻るまでの間、ラーのオッサンと世間話でもするか……)
 俺は周囲をもう一度見回し、ラーのオッサンに話しかけた。
「オッ……じゃなかった、ラーさん、宿屋での話で気になった事があるんだが、今いいか?」
 ずっとオッサンという呼び方だったので、やはり少し違和感がある。が、そのうち慣れるだろう。
「気になった事……なんだ?」
「さっき魔物達の気配について話してた時、妙な言い方
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