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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第三十三話「関所にて」
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外すんなりと通れるかもしれないし」
「だと良いんだがな」

不安に駆られながらも馬車を降りた二人は関所へと足を運び、警備をしている兵士へと話しかける。

「関所を通りたいんだが良いだろうか?」
「通行許可証は持っているのか?」
「い、いや、持っていないが」
「ならば通す訳にはいかん、引き返せ」

兵士はそう言い放つと槍を二人へと向けて威嚇すると、一人の少女の声がする。

「待ってください!も、もしや貴方様は…ヘンリー王子様では?」
「何だと!? この男…、いや、この方がヘンリー王子?」

奥の部屋から出て来たその少女の声に兵士は改めてヘンリーの顔を見直すと険しかったその表情は徐々に緩み、潤んで来た瞳からは涙が零れて来た。

「お、おお、確かに。王子、生きておられたのですねヘンリー王子!」
「そう言うお前は…確かトムだったな」
「覚えていて下さいましたか。はい、ラインハット城にて兵士をしていたトムでございます」
「それと君は?」
「私は以前、王子様に助けていただいた城の給仕です」
「ああ、あの時の…」

少女がそう言うと横で話を聞いていたリュカが思い出したのか顎に手を当てて答える。

「あの時って?」
「忘れたのかい、俺とお前の決闘の切欠になった」
「あっ」

リュカの言葉でハンリ−も思い出す、壷を割ってしまった給仕の少女を庇った時の事を。
兵士トムもまた当時の事を思い出したのか、零れて来た涙を袖で拭き取る。

「あの時は良かったなぁ。誰も皆が笑いあい、幸せに暮らしていた。なのに今のあの城は……」
「トム、詳しく教えてくれ。俺達は今からラインハット城に乗り込む」
「ええっ!む、無茶ですよ、今のあの城に乗り込むなんて命を無駄に捨てに行く様なものです!」
「無茶は承知の上だ、それでも行かなければならない」

トムは何とか押し止め様とするがヘンリーの目に宿る光を見ると決意は変わらないと悟り、語り始める。

「最初は王子が攫われたという騒ぎが起こった時です。まず王妃様が怪しいのは剣士パパスだと言いましたがレナス陛下はそれを即座に否定なさいました。ですが、既に王妃の命によって兵士団がサンタローズへと送られた後でした。その事に激昂された陛下と王妃が言い合いをなされてましたが、兵士団が戻って来た時には陛下は兵士団を責める所か逆に褒め称えていました。まるで人が変わったかの様に」
「つまり、その間に何かがあったって事だね」
「ああ。叔父上がそんなに関単に考えを変える筈が無い。洗脳されたか、あるいは…入れ替わったか」
「その後、配置転換が相次ぎ、陛下に進言をした者達は辺境へと飛ばされるか、酷い時にはそのまま処刑を…。我々も目障りだったのか此処へと」

ヘンリーは伝えられた情報に眩暈を覚えた。
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