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星河の覇皇
第六十三部第五章 会見の申し入れその十一

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「だからな」
「それではですね」
「アッディーン大統領もですか」
「八条長官と会われますか」
「青き獅子も」
「英雄を知るのは英雄だ」
 即ち同じだけの大きさの資質を持っているからだ、知ることが出来るというのだ。
「彼もまた英雄だ。そして」
「そして?」
「そしてとは」
「英雄は敵にもいる」
 その目を鋭くさせての言葉だった。
「あの国にもな」
「エウロパにもですか」
「あの国にも」
「二人、いや三人か」
 それだけの英雄がいるというのだ。124
「あの国にいる英雄はな」
「一人はギルフォード侯爵でしょうか」
 フラームが言って来た。
「やはり」
「そうだ、まずは彼でだ」
「そして後二人ですか」
「モンサルヴァート元帥にカミュ伯爵だ」
 この二人もだというのだ。
「軍事的天才もいるはな」
「その軍事的天才は」
 アブーがその彼のことを長兄に問うた。
「誰でしょうか」
「タンホイザー元帥だ」 
 彼だというのだ。
「それはな」
「タンホイザー元帥ですか」
「彼のことは知っているな」
「戦場に立てば負けることはない」
 アブーも言う。
「そうですね」
「エウロパ戦役では勝てなかったがな」
「しかし負けもしませんでしたね」
「あの戦争は勝てなかった」
「エウロパ自体も彼自身も」
「戦力差があり過ぎた」
 連合とのそれがだ、だから勝てなかったというのだ。
「四倍以上の数とあれだけの装備の差があればな」
「勝てませんね」
「そうだ、だから連合軍の損害は軽微でだ」
「エウロパ軍は甚大でした」
 連合軍は正規軍義勇軍合わせて二千百個艦隊のうちの十個艦隊の損害だ。それに対してエウロパ軍は五百個艦隊のうちの百五十個艦隊だ。相当な損害の差である。
「その状況では」
「勝てない」
 どうしても、と言うシャイターンだった。
「とてもな」
「しかしですね」
「それでも負けなかった」
 タンホイザー、彼はというのだ。
「その戦場ではな」
「一度もですね」
「それはまさに天才だ」
「勝てずとも」
「負けなければな」
 エウロパ戦役の時のエウロパ軍の状況ではというのだ。
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