捜査開始
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案を始めた。
「エルフ……ですか」
「あぁ、年頃の娘だそうだが忽然と消えた。ハンターだから依頼で街の外に出たのかとも考えたがその痕跡は無い。となると後は……」
「拐われたか、奴隷落ちしたかという訳ですか。ふむ」
一通りの事情を説明したハリーに対して、ガルドは首を捻る。奴隷落ちの可能性は限り無く0に近いが、ハリーは恐らくその可能性を真っ先に潰しに来たのだろう。そしてあわよくば、何かしらの手がかりになりそうな情報を求めているのだろう、と。
「恐らくですが……奴隷落ちの可能性は無い、と言って差し支え無いでしょう。そもそもエルフを買い付けられるだけの資金力が、私の商館以外にあるとは思えませんしな」
この世界の奴隷制度では、3種類の奴隷がいる。1つ目は犯罪奴隷。犯罪者の刑として奴隷へと身分を落とし、鉱山などでの強制労働に就かせる物だ。人権は必要最低限しか認められておらず、刑期が終わるか死ぬかしないと解放されない。
2つ目は戦争奴隷……通称戦奴と呼ばれる者達である。扱いとしては捕虜と同等で、身代金を支払えば故郷に強制送還される。身代金支払われ無ければ通常の奴隷と同じく売りに出される。
そして3つ目が金銭奴隷である。これは借金のカタに自分自身を売る事で、その返済に充てるという物で、一般的にいう奴隷の殆どがこれに当たる。そしてその身分はその奴隷商人が保証し、個人の適性に合った主人を紹介して売却、利益を得る。そして売却された奴隷は仕事をして買い取った主人から給金を貰い、自分を買い戻して奴隷の身分から解放される事も出来るのだ。いわば奴隷商人は、人身を用いた質屋と職業斡旋所を合わせたような職業なのだ。
そして金銭奴隷はほぼ一般人と扱いは変わらない。主人の命令は大概聞かなくてはならないが、自身の命が脅かされたり罪に問われるような行いは拒否できる。薄い本等でお馴染みのエロチックな命令やムチで打つような暴力を振るわれた場合には、主人を犯罪者として衛兵に突き出す権利もある。勿論、両者合意の上で結ばれるのは合法であるのだが。
所有者は所有者で、毎年奴隷を所有している税を納める事が義務となっている。その他に奴隷本人に対しての給金も払わなくてはならない為、奴隷というのは高級な労働力なのだ。要するに奴隷を持っているというのはそれだけの財力と人格を保証されるステイタスだったりする。
「もしかしたら、仲間にも話せないような事情で借金を作り、自らを売ったりしているんじゃないかと思ったが……その線は無さそうだな」
「そうですね、エルフなんて珍しい奴隷を仕入れれば、それなりに噂が立つ筈ですし」
「となると、裏の市場か」
「その可能性は高いですね」
「そうか……なら、エルフや獣人等の亜人種奴隷を好ん
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