暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第六十三部第四章 閣議決定その三十

[8]前話 [2]次話
「連合軍の生活は他国の軍のそれよりもいいのです」
「そもそも連合は豊かだしな」
「そのことも加わりますし」
 連合軍の将兵の生活水準は高いのだ。
「艦艇でも兵士でも個室ですし」
「確かにいい生活だな」
「それが連合軍です」
 待遇は連合社会全体の基準だが確かに相当にいい。
「だからその面でもです」
「風紀がいいのだな」
「衣食住足れば礼節を知る」
 論語にある言葉もだ、八条は出した。八条はこうした古典も読んでいてこの方面でも深い教養を持っている。
「ですから」
「まずは生活か」
「生活が豊かであればです」
「略奪もしない」
「その他の蛮行も」
 しなくなるというのだ。
「人は満腹ならばそれ以上は食べないです」
「精神的に満足するしな」
 キロモトも応えて言う。
「それにな」
「はい、食べられなくなるので」
「満腹でもう入るものが入らなくなると」
 また言うキロモトだった。
「必然的な」
「人は食べなくなります」
「中にはそれでも食べようとする過食症患者もいるが」
「そこまでなると」
「正常な精神ではないからな」
「こうした話とは対象外です」 
 それこそ精神科の話だ、過食症になると。
「あくまで正常な欲望を持っている者が対象なので」
「給与や生活もな」
「それが必然のものとなります」
 人が満足するだけのものがというのだ。
「軍の矜持を守る為にも」
「話はそうなる」
「左様です」
「給与を支払わなくてはな」
「軍、特に志願制の軍は維持出来ません」
「徴兵制なら給与は安く済むが」
 徴兵が市民の義務ならばだ。近代国家の徴兵制は革命後のフランスからはじまる。ただマキャベリからその話はある。
「しかしだな」
「徴兵制は連合には」
「そぐわないな」
「合いません」
 八条はキロモトにはっきりと答えた。
「徴兵制は確かに数は揃えられますが」
「しかしだな」
「軍隊は専門化しています」
「それぞれの将兵のだ」
「軍は技術者集団です」
 そうなっているのだ、この時代では。もっともこれは二十世紀後半からそうなってきておりこの頃から徴兵制は廃れてきている。
「技術者にはやる気が必要で」
「そしてだな」
「徴兵制は二年か三年で終わりです」
 そして次の徴兵者に交代することになるのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ