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夢幻水滸伝
第十二話 西の動きその八

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「それも日の出の時に」
「そうしてくるでおじゃるな」
「軍師はんなら」
「確かに夜襲の可能性は高いでおじゃる」
 夏目はこの可能性自体は否定しなかった。
 だがそれと共にだ、こうも言うのだった。
「しかしむしろでおじゃる」
「ここで攻めるなら」
「裏の裏をかいてくるでおじゃる」
 山陽の勢力はというのだ。
「実際に敵の棟梁井伏氏はどうでおじゃるか」
「そうしたことは得意やな」
「相撲部でも頭脳派でおじゃるな」
「学校でも成績優秀」
 二年ではかなりいい方だ、その巨体に似合わず細かいところまで気がつく性格でも有名である。
「それでは」
「そうしてくるでおじゃるな」
「そして山本はんは井伏はんの話を聞く」
「悪いと思ったことは言うでおじゃるがな」
 絶対服従ではない、まさに肝胆相照らす間柄だというのだ。
「しかしでおじゃる」
「そうしたお人やからこそ」
「朝でおじゃるよ」
「それでは」
「今のうちに休んでおくでおじゃる」
 これが夏目の最初の判断だった。
「そしてでおじゃる」
「朝の日の出前に起きて」
「早いうちに飯にするでおじゃる」
 そうしたこともするというのだ。
「腹が減っては戦が出来んでおじゃる」
「その通りやしな」
「何故日の出に攻めるとええか」
「急襲やしな」
「朝は日の出の後で飯を食うでおじゃるな」
「その飯の前に攻めると」
「相手が一番弱い時でおじゃるからな」
 まさにその飯を食う寸前だからだ、力が最も抜けている瞬間であることは紛れもない事実だ。
「攻めるには一番いいでおじゃる」
「では」
「ここは敵のさらに裏をかくでじゃる」
 これが夏目の考えだった。
「日の出前にもう飯を食ってでおじゃる」
「戦の用意をして」
「そしてでおじゃる」
 そのうえでというのだ。
「迎え撃つでおじゃる」
「そうしてでんな」
「勝つでおじゃる、ただ」
「敵も強い」
「あの二人は共に傑物でおじゃる」
 井伏、そして山本はどちらもというのだ。
「酔い伊那相手ではないでおじゃる」
「有利な戦になっても」
 敵のその裏をかいてだ。
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