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レーヴァティン
第十一話 空の港町その十一

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「どうしてもな」
「水がいいに越したことはないけれどな」
「水が美味いとそちらを飲むな」
「ああ、酒じゃあ水分補給にならないからな」
 アルコールのせいでかえって身体の中の水分が出てしまう、アルコールの利尿作用がそうさせるのだ。
「だからな」
「酒より水だ」
「実際そうだな」
「この島の水はよくない」
「硬水っていうのか?」
「硬水の中でも悪い方だ」
「おおむねそうだな」
「この島の水はな」 
 水の悪い場所が多いというのだ。
「だからこうして酒を飲む」
「そういうことか」
「酒が美味いのはいいことだがな」
「酒と水両方がいいと最高なんだがな」
「それは俺達の世界だ」
 そちらの日本になるというのだ。
「そこで楽しめ」
「どっちも楽しみたいとか」
「そういうことになる、その話はいいが」
「ああ、とりあえず今はな」
「食うべきだ」
 英雄は鶏肉をフォークとナイフで切りフォークで口の中に入れて香辛料と肉の味を楽しみつつ久志に言った。
「こうしてな」
「あれこれ言うよりもな」
「そうしよう、この世界では暫く会えないしな」
「一時の別れだな」
「こちらの世界ではな」
 彼等の現実の世界では別だがというのだ。
「そうなるからな」
「別れの宴を楽しむか」
「こうしてな、そしてそれぞれの状況だが」
「あっちの世界で話すか」
「それがいい、そうしてだ」
「状況を確認し合うか」
「そうしてだ」
 そしてというのだ。
「お互いにどうしていくか考えるべきだ」
「そうだな、一人でその世界でやっていくよりもな」
「話が出来るならだ」
 それが例え別世界のことであってもだ。
「そうすべきだ」
「その通りだな、じゃあな」
「食い終わったらだ」
「港に行くか」
「そうする」
 英雄は焼いた鶏肉の味を楽しみつつ述べた、そしてだった。
 デザートのタルトも食い終わり酒も堪能した、そうしてからあらためてだった。二人で港に向かった。その港を見てだ、久志はこんなことを言った。
「前にあるのが海じゃなくて空だけれどな」
「港だな」
「ああ、そう思ったぜ」
 実際にというのだ。
「今な」
「俺もだ」
 英雄もこう答えた。
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