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ドリトル先生と悩める画家
第九幕その十

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「今日はこれ位で」
「一升でだね」
「止めてです」
「夜は普通にだね」
「召し上がられて下さいね」
「じゃあそうさせてもらうね」
「はい、それでお酒がある程度抜けたら」
 トミーは晩御飯の間のこともお話しました。
「お風呂入りますよね」
「そちらもね」
「そちらも楽しんで下さい」
「そうさせてもらうね」
 先生は今も熱燗を飲んでいます、そうしつつです。
 また景色を見てです、また言いました。
「こうして景色を見るといいね」
「それはその通りですね」
「トミーは今日は飲まないのかい?」
「お料理もしてますから」
 だからだというのです。
「熱燗も温めて」
「それじゃあ夜に」
「焼酎を頂きます」
 日本酒でなく、というのです。
「そうさせてもらいます」
「焼酎だね」
「この前酒屋さんで買いまして」
「ああ、お静さんの」
「はい、あのお店で買いました」
「お静さんも今日は飲むかな」
 先生はここでお静さんのことも思うのでした。
「そうなのかな」
「いえ、お店の時間ですから」
「店番してるかな」
「そうだと思います、ですが」
「お店の後でだね」
「飲むかコタツだと思います」
「そういえば歌であるよ」
 先生は飲みつつ日本のある歌を思い出しました、その歌はといいますと。
「猫はコタツで丸くなる」
「犬は喜びですね」
 トミーはジップを見て応えました、今のジップは先生の傍で尻尾をぱたぱたと振りながら雪景色を見ています。
「日本のあの歌ですね」
「そう、あの歌みたいにね」
 まさにというのです。
「コタツで丸くなってるのかな」
「そうかも知れないですね」
「いや、猫は暖かい場所が好きで」
「欧州じゃ暖炉の傍に集まりますけれど」
「日本ではコタツなんだね」
「そうですね」
「それもまた風情があるね」
 先生はお静さんが猫又の姿に戻ってコタツの傍で気持ち良さそうに丸くなって寝ている姿を想像して言いました。
「日本独特の」
「それは確かですね」
「コタツはいいね」
「足を暖めてくれて風情もあって」
「こんないいものもないね」
「冬には」
「まさに魔性のものだよ」
 こうまで言う先生でした。
「知ったら離れられない」
「外に出られない」
「そうしたものでもあるよ」
 このことは少し苦笑いで言う先生でした。
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