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明日へ吹く風に寄せて
W.花岡春代
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としようか。春代さんには事後処理を任せることになるが、颯太はいつもと同様、楽士として舞台に上がってもらう。」
「お待ちください。本家当主殿、私も共に千年桜へとお供したく存知上げます。」
「……!」
 僕と颯太は春代さんの言葉に耳を疑った。
 今まで花岡家と仕事をしたのは二回だけで、それも階位四位以下の者達で行ったことしかない。通常は、こうやって当主同士で会うことも稀なのだ。それをして一緒に仕事をするなど…有り得て良い話ではない。
「春代さん…それは些か…」
「そうだぜ?本家と分家の当主が揃って仕事するなんて…」
「いいえ!過去にも事例はあります!」
 まぁ無くはないが、江戸時代の話であり、どのようなものかと僕は腕組みをして考えた。春代さんのことだ、僕達がいくら言っても聞く耳は持たないだろう。そう思い、僕は溜め息を洩らしながら言った。
「分かりました…。しかし、何があろうと保障出来ませんよ?」
「承知しております。」
 横では颯太がげんなりとしている。
 だが、春代さんは楽士としても知られ、特に琵琶の演奏には僕も一目置いている。颯太の方はと言えば、鼓だけでなく笛などの管楽も出来るため、今回はかなり強力だと言えた。
「颯太、君は篠笛でお願い出来るかい?」
「ああ。春代さんは琵琶の名手だし、そうなれば打楽より管楽の方が良いからな。」
「あら、颯太が私を誉めるなんて。きっと雷でも落ちるわねぇ。」
 春代さんはまた余計なことを…。だが、今度は颯太が踏み留まり、流石に春代さんもそれ以上は何も言わなかった。但し、颯太の額には血管がくっきりと浮き出てはいたが。
「さて、この仕事は早急な対処が必要だ。よって、今夜行うこととする。」
「畏まりました。」
「分かった…。」
 二人は僕の言葉を受け返答すると、そのまま部屋を出ていった。皆、用意は必要だからだ。

…チリン…

「ん…?気のせいか…?」

 静かになった部屋の中に、鈴の音が聞こえた気がした。だが気のせいと一笑に伏したのだった。
「しかしなぁ…。」
 あの千年桜を狂い咲かせる程の念とは、一体どれ程の力なのだろうか?それも、今夜解る筈だ…。

…チリン…




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