暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
友の奇跡、ジェムの決意
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「メガリザードンを出すと思いこまされたのは私の不覚だ。しかしどのみち君に私を倒すことはできないよ」

 全員の意表をついて出された最後のポケモンをサファイアは軽んじる事はしない。だが脅威として見ているわけでもない。

「フライゴンは特別ゴーストタイプに強いポケモンではないし、ダイバ君の持つガブリアスとは違う利点も存在はするが……それも特段私達の『影分身』『身代わり』『守る』『ゴーストダイブ』等の技に相手の経験や勘から来る予測を外させる『死線幽導』による十重二十重の守りを崩せるものではないはずだ」
「ならば受けてみるがいい……これが我が竜達が貴様を倒す答えだ! ボーマンダ、『ハイパーボイス』!!
「……『守る』だ」
「ボアアアアアアアアア!!」

 再び飛行タイプとなったボーマンダの咆哮が襲い掛かる。大見得を切った割にフライゴンは地面に足をつけたまま動く様子はない。ドラコの意図は読めないがひとまず音による攻撃を無効化する為に大地を染める影に身を隠させ――


「フライゴン、『地割れ』だ!!」
「『地割れ』……だと!?」


 フライゴンが大地を砂漠のように干上がらせ、一瞬にして『地震』とは比べ物にならないほど深く地面が切り裂かれる。一瞬にして切り裂かれた先は、ヨノワールの影。隠れた巨体を影もろともはるか地の底まで叩き落す。

「……ッ、シャンデラ柱の影へ――」
「柱だろう建物だろうと影は大地から離れられない!!続けろフライゴン!!」
「ふりゃあああああ!!」

 ボーマンダは咆哮を続けている以上影から出れば大ダメージは避けられない。故に『死線幽導』で偽の気配によるフェイントをかけ別の影に移動しようとするが――

「貴様の誘導はあくまで姿が捉えにくく見てから反応するだけでは技が当てられないからこそ起こせるフェイク。だが私のフライゴンは貴様の影だけをこの複眼で見続ける!!」
「……!!」

 街灯の影に隠れようとしたところを街灯もろと切り裂きシャンデラの影を地の底に落とし閉じ込める。『地割れ』は受けた相手を一撃で葬る必殺の技。地の底に落されたヨノワールとシャンデラが地面に浮かび上がると、ヨノワールはうつぶせに倒れシャンデラの炎は消えて顔の一部が割れていた。明らかに戦闘不能だった。サファイアが二体をボールに戻す。ダイバがドラコの意図を理解しはっとする。

「そうか……ここまで流れ全てがドラコの戦略だったんだ」
「どういうこと……?」

 目まぐるしい攻防とドラコの意志にジェムの心も動き始めたのだろう。ダイバに尋ねるジェム。

「最初にカイリューが『地震』で攻撃したのはあらかじめ地面を割ることで本来命中させづらい『地割れ』を使いやすくさせるのが狙いだった
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