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北欧の鍛治術師 〜竜人の血〜
プロローグ 始まりの咆哮
始まりの咆哮
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だ。隣にはユスティナがおり、資料を纏めて報告しに来ていた。
「担当したとされる医師たちの証言を信じるならばそうなります」
「その少年の容体は?」
「安定傾向にあるとのことです。どうかされたのですか?」
「いざとなればその少年を連れて帰ろうかとも思案したのです。カタヤ要撃騎士。あなたはあの家の秘密は知っていますか?」
「?いえ、特に何も聞いておりませんが」
「そうですね・・・どこから話しましょうか。数百年前、アルディギアが成立して間もなかった頃の事です。現在のアルディギアの領土の中心にあたる地域にはある生き物の巣がありました。それも広大な範囲を誇るものです。それらは種族も個体も関係なく皆が皆に対して慈愛と共有の精神を持ち、上下関係を利用した圧政もありませんでした。そんな時、その近辺に住んでいた人間の部族が住処を追われてその地に流れ着いて来ました。後の私たちのご先祖に当たる方々ですね。そして人間たちはこの地を新たな故郷にしても良いかとそれらに尋ねました。先程も申した通りそれらは深い慈愛と共有の精神を持っていたので、快く人間たちの移住を認めました。もちろん、相互不可侵条約などの多少の制約はありましたが。ではカタヤ要撃騎士、ここで問題です。その生き物とは一体なんのことでしょう?」
「条約を結べるほどの知能はあったということ・・・。広大な範囲で繁殖可能な種族・・・。皆目見当もつきません」
「ふふ、でしょうね。少し意地悪な問題でしたか。私も小さな頃にお爺様にこの問題を出された時あなたと同じようになりました。では正解を言いましょうか。それらの正体とは、『竜』です」
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