暁 〜小説投稿サイト〜
没ストーリー倉庫
【SEED】ボンサイ操縦者のボヤキとアガキ2
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
な言葉が出てしまったのだろう。
 それに対して、カリグラという男は激昂するでもなく極めて平静な顔でイザークを手招きし、「模擬戦しよう」と言い出した。即時に行動に出たことにイザークは少しばかりカリグラという男の評価を改めたが、やはり彼の中ではカリグラはナチュラルで緑服の男。自分の方が各上だという意識が潜在的にあった。

 そして、シミュレータによる模擬戦で、イザークはその自信を見事に吹き飛ばされた。

『遅いぞ坊や!対モビルアーマー戦にかまけてジンの性能を引き出せていないな!』
『くそ、何故当たらん!?ぐああああああああッ!!』
『これで五戦五敗だ。そろそろ俺の動きの癖の一つでも掴んできたんじゃないか?さあ、次だ』

 カリグラの操縦技術は見事と言う他なかった。ジンが人型を基礎に宇宙用に開発されたモノであることを熟知し尽した三次元機動と、攻撃して欲しくない嫌なタイミングを的確に突いた攻撃。実戦経験の差がモロに出たこの戦いは、結局イザークの完全敗北に終わった。
 そして終了すると同時にシミュレータ内で項垂れるイザークに近づいたカリグラは一言、「今のお前と俺とでは覚悟が違う。勝敗の差はそれだ」と言い残し、何事もなかったように自室に戻っていった。その一言はイザークに更なるショックを与えた。

 イザークが怒っているのは自分がナチュラルに大負けしたからではない。イザークが怒っているのは、相手がナチュラルだからと心の底でずっと慢心していた自分の傲慢に対してだ。
 ナチュラルとコーディネーターの差は、特殊な状況でない限りは歴然としている。それは確かだ。しかし、だからといって有利な側が油断して、慢心していいという理由など何一つない。そうした油断こそが、次にまた血のバレンタインのような惨劇を引き起こすことを許してしまうかもしれない。或いはその慢心は自分自身や仲間にだって降りかかるかもしれない。これは戦争なのだ。絶対はない。
 
 『逢魔の狩人』は、ナチュラルというハンデがあるからこそ、それをよく知っていたのだ。だからあんなにも冷静でいられたのだ。

「今回の作戦は成功させる……次も、その次も、ずっとだ!俺はプラントを守る。その覚悟を二度と鈍らせてなるものかッ!!」
「力み過ぎだっつーの。ホント加減の出来ない男だな……」
「だが、そういう意識の差がエースとそうでない人を分けるのかもしれないな……」
「エースである必要は必ずしもないですけど、カリグラ先輩のおかげで慢心は取り払われましたね」

 自分達も、いずれその背中に追い付けるのだろうか。
 実戦の空気を感じたことで、後に数奇な運命を辿る若い兵士たちの運命が、少しだけ変動した。
 
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ