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大淀パソコンスクール
節目の日
昼1
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「本日は最終日になります」

 お昼過ぎ。お昼からの授業を前に、事務所に並ぶ全講師……といっても、俺とソラール先輩の二人だけだが……を前に、大淀さんが高らかにそう宣言した。

「この後の生徒さんは、Excelの神通さんと、Wordの岸田さんです。今日はこのお二人だけなので、マンツーマンでやって頂いて結構です」
「授業が終わったらどうするんですか?」
「授業の後は、簡単に掃除をします。で、私とソラールさんはそこで業務終了。カシワギさんは夜の授業がありますから、そのまま待機してください」
「最終日なのに、簡単な掃除でいいんですか?」

 普通、最終日といえばけっこう盛大な掃除が必要になるはずなのだが……素直な疑問を大淀さんにぶつけてみる。

 大淀さんは、いつもの柔らかい笑顔を浮かべ、フッと微笑んだ。相変わらず天使だー……この人、綺麗だー……。太陽だ……この教室の太陽だこの人……

「いいんです。明日、清掃業者に大掃除をお願いしてありますから」
「ほぉ……我々講師に対する大淀の心配り、感謝する」

 なるほど。ならば俺達が掃除をせずとも、教室と事務所の大掃除はなされるというわけだ。この、職場の大掃除ってのはおれも辟易するし、ここは大淀さんの粋な心遣いに感謝すべきところだ。ありがとう、大淀さん。

 だなんて一人で勝手に感動していたら……どうもその裏には理由があるらしく。

「……あ、いえ。決してみなさんへの配慮だけではなく」
「はい?」
「一応、知り合いの清掃業者で、私と同じ鎮守府だった艦娘の人がやってるところなんです。困った時はお互い様の精神で、こうやって時々お仕事を振ったり振ってもらったり……。

 そう言う大淀さんのほっぺたは赤く、珍しく苦笑いを浮かべながら両手の人差し指を付きあわせてもじもじしている。なるほど。そんな実務的な理由があったのですか……

 ちなみに、その清掃業者ってどこだろう? 大淀さんと同じ鎮守府だった人がやってるってことは、その業者さんも、オーナーはここと同じなのだろうか? 結局面接のときぐらいしか顔を合わせてないから、オーナーの顔を忘れつつあるのだが……

「大淀さん、その清掃業者って、なんてところなんですか?」
「“ビッグセブンクリーン・一航戦”ていいます。ご存知ですか?」
「……いえ」

 なんというコテコテで安直なネーミング……もう、思いつくものをすべてくっつけて、申し訳程度に清掃業を表す『クリーン』て単語をくっつけただけの、極めて安直過ぎるそのセンス……いや、名前で業種が分かるというシンプルさは、今のこのご時世、必要なことなのかも? なんだか頭がこんがらがってきた。

「……まあいいじゃないかカシワギ。俺達は楽が出来る。それでいい」

 そらそうだ。珍妙な
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