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魔術師ルー&ヴィー
第一章
XY
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った。
 さして時も経ぬうちに、三人はとある教会の一室へとその姿を現した。
「うっ…!し…師匠…。」
「な、平気だろ?」
「うっ…!な…なんて酷い魔術…う…うぇ…!」
 ヴィルベルトの顔は蒼白となり、込み上げる吐き気を何とか堪えている風であった。
「ヴィルベルト君この魔術は、些か相性が悪いようだね…。」
 ウイツは苦笑混じりにそう言ったが、今のヴィルベルトにとってそれはどうでもよく、ただ「うっ…!」と呻きながらひたすら吐き気と格闘していた。
 暫くして、ヴィルベルトを見かねたルーファスは、弟子の肩に手を置いて呪文を唱えた。
「苦しめる気よ霧散せよ。」
 すると、ヴィルベルトの体から吐き気やだるさが一気に消え去った。
「有り難う御座います、師匠!ですが…」
「回復魔術は禁止されてるってんだろ?こん位どうってこたぁねぇよ。第一、お前がんな状態で移動出来っかよ。」
「それは…そうですけど…。」
 ヴィルベルトは不服そうではあったが、師に言い返すことはなかった。ここが敵地の真っ只中と言うことは、ヴィルベルトも重々承知しているからである。
 だが、ウイツはそんな二人を見て…と言うより、ルーファスを見て何かあるのではと考えていた。
 元来、回復魔術は外傷を治す魔術である。"回復"とは言うものの、病や疲れを取り除くことは出来ない。それが出来るのは神聖術だけなのである。尤も、回復魔術は修復魔術の応用から生まれたものであり、純粋に回復魔術とは呼べないのであるが。
 そのような魔術をルーファスはあっさり行使しして見せたのだから、ウイツが疑問に思うのも無理な話ではない。
 しかし、ここはそんなことを考えている場合ではないと思い、ウイツは考えたことを胸にしまい込んで二人へと言った。
「ほら、じゃれあってないで先に進むよ。」
「じゃれあってねぇっつぅの。」
「そうですよ!師匠が一方的に僕を揶揄ってるだけなんです。」
「ほぅ…俺が一方的、ねぇ?」
「…いえ、すみません。僕が悪いんです…。」
 そう言ってじゃれている二人に苦笑しつつ、「ほら、行くぞ。」と言って先を促したのであった。
 三人は注意しつつ教会から外へ出ると、その周囲は想像以上に凄惨なものであった。先の戦を生々しく残すかのように、破壊された街並みからは炎が見えるようで、そこかしこには白骨化した人骨が大量に転がっていたのである。
「中は何てこたぁなかったってのに…。こいつら、教会に逃げ込もうとした奴らか?」
 ルーファスは眉間に皺を寄せ、周囲を見つつそう言った。ウイツもヴィルベルトもあまりの惨状に言葉を失っていたが、ルーファスが教会前の広場へと向かったため、二人も黙ってそれに続いた。
 三人は人骨を注意深く避けながら進んだが、それは広場も同じであった。見れば、それは皆一様に
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