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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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れた老女とは…大神官の妹であった。ルーファスとヴィルベルトはファルの街で会っていたが、この様に怒りを露にする人物とは思いもよらなかった。
「む…迎えに来ただと!?この無礼者が!」
「無礼はお前じゃ!若い時分にゃ家ん金持ち出して、酒や女に使っとったんは一体誰じゃ!そんでまともな仕事一つせなんだろうがね!」
 その母の言葉に、ファルケルは一瞬たじろいだ。が、直ぐに表情を戻して言った。
「それ故、我はこうして世を正そうとしているではないか!何故に邪魔立てするか!」
「お前が間違っとるからじゃ!早ぅ目ぇ覚まさんか!」
 そう言われたファルケルは、憤怒の形相で母を怒鳴り付けた。
「この我に意見するとは!我に親などおらん!」
 そう言うや、ファルケルは持っていた樫の杖を母へと降り下ろそうとした。
 だがその時、辺りを再び光が走り、ファルケルはその杖を落としてしまった。
 その光とは無論、大神官が放ったものである。大神官は直ぐに姿を現し、そしてファルケルを怒鳴り付けた。
「親に手を上げるとは、一体何様のつもりじゃ!今、お前がやっていることは、天に弓をひいておると同じだと何故に分からんのじゃ!お前の亡き父は、お前を守るために命を落としたと言うに、今のお前にその価値など無いではないか!」
 その大神官の言葉に、ファルケルはその目を見開いた。
「父は…旅先で死んだ筈…。」
「確かに、そうじゃ。じゃがな、そこには幼子のお前も居ったんじゃ。お前が健やかに育つよう、父はわしの所へ祈願しに来たのじゃよ。その時、わしはベズーフのとある大聖堂へマルクアーンと共に居ってな、そこへわざわざお前を連れて来たんじゃ。じゃが、その帰り道に崖崩れに巻き込まれ、お前を守ってその身を犠牲にしたんじゃ。」
 それを聞き、ファルケルは信じられぬと言った風に首を振りながら後退した。
「そんな…そんな筈はない!その様な話…」
「せぬ様にと妹…お前の母に言ったのはわしじゃ。お前が苦しまぬ様にのぅ。じゃが、今のお前はどうじゃ…この様に放蕩の限りを尽くしたかと思えば、妖魔の甘言に踊らされおって…嘆かわしいのぅ。」
 そこまで言うや、大神官はとある聖文を唱えた。
「大いなる神、正しき御方よ。その慈愛もて我が祈りを聞き入れたまえ。大いなる神、正しき御方よ。卑しき者より光を取り去りて、全き路に横たえたまえ。大いなる神、正しき御方よ。汝の赦し在りし時、再びこの者に光を与えんことを乞い願う。」
 女公爵はその聖文に聞き覚えがあった。大神官らと共に妖魔退治をしていた時、ただ一度だけ同じ力を大神官が行使したことがあったのである。
「ファル!それは…」
 女公爵がそれを止めようとしたが、その力は行使された。ウイツもヴィルベルトもそれが何なのか分からない様であったが、ルーファスは女公爵と同じよ
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