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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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「一度しかお会いしたことはありませんでしたが、覚えていて下さっていたのですね。」
 サリエスと言われた青年は、そう言って安堵の表情を浮かべた。そしてルーファスらの前に歩み寄り、膝を付いて礼を取って言った。
「高き御方々の前にこの身を晒すのは誠にお恥ずかしい限りですが、兄の命により此方へと参りました。」
 そのサリエスの言葉に、女公爵は些か不思議そうに彼へと問った。
「お前はミルイシアと共に執務をしている筈だ。何故にこの様な場へ参る必要があったのだ?」
「バーネヴィッツ公様、それは先に申しました通りに御座います。暫し前にアーネスト兄上が見付かったと聞き及び、ミルイシア兄上が私に状況の確認、出来れば連れ戻してほしいと言われ、直ぐにこちらへと馬を跳ばした次第に御座います。」
「何も…お前でなくとも良かったではないか。」
 女公爵は渋い顔をしてサリエスへと言った。
 サリエスはこの時、ミルイシアと共に家を守っていた。王家との通信役としても重要な人物であり、女公爵はそれをよく知っていたのであった。そのため、サリエス自身がここへ来たことを内心不遜とも受け取っていたのである。謂わば役職放棄とも受け取れるためである。
 だが、それよりも問題があった。連れ戻してほしいと言われたアーネスト自身のことである。彼は今、妖魔に支配されて別人と成り果てているわけで、それをどう伝えるべきか…女公爵だけでなく、ウイツやヴィルベルトは勿論、ルーファスでさえ言葉に詰まっていたのであった。無論、宝玉の中の大神官も然りである。
 そこで困っていたウイツは、未だ礼を取るサリエスへと問い掛けた。
「サリエスと言ったか…その情報、一体どこから入ったんだ?」
 その問いに、サリエスは直ぐ様返した。
「シュテンダー侯爵家より書簡が届き、その中へ記されていたとミルイシア兄上より伺っております。ですが、その内容が余りにも突飛なものゆえ、初めは揶揄われていると思ったそうです。ですが侯爵印も紙の透かしも本物で、代筆者の執事、ユーリシア・カルバス殿の筆跡も確実に本物だとのことで、ミルイシア兄上も事実確認がしたかったのでしょう。グリュネまで来ていれば、遅かれ早かれ皆様方にお会い出来ると考え、恥を忍んで参った次第に御座います。」
 サリエスがそこまで言った時であった。ルーファスらがいた教会が何の前触れもなく、轟音と共に崩れ出した。
「風よ、我が前に逆巻きて防壁となせ!」
 ルーファスは直ぐに魔術を展開し、崩れゆく教会から皆を守った。
 暫くし、完全に教会が崩れて後にルーファスが魔術を解くと、未だ土埃の舞う中に大勢の人影を見た。
「何だ?」
 ルーファスは眉を潜めて辺りを見回すと、そこには武器を持った人々と、アーネスト…いや、あの妖魔の姿があったのであった。
「どういうつもりだ!」

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