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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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 二人がバーネヴィッツ公の館を発ってから、早二十日が過ぎようとしていた。
 魔術師二人の旅にこれといって変わったこともなく、全くと言って良い程に問題はない。たとえ盗賊などに出会したとしても、逆に相手が哀れというものである。
 尤も、馬車では旅費がかかりすぎ、貧乏性の二人には使えないだけなのだが。
 さて、二人は本街道にある第二位の街、ファルへと入っていた。
 この街には宿も多く、それまで野宿ばかりだった二人は、早速宿を探して身を寄せたのであった。
 二人が選んだ宿には温泉があり、二人は喜んで直ぐに入ることにした。
「こりゃ良い!旅の疲れが取れるってもんだ。」
「師匠…爺くさいです。」
「うっせえ!俺はただ、正直な感想を述べただけだっつぅの!」
 二人は広い湯槽に浸かり、他愛もない話をしている。時間が早いせいか、他の客人の姿は見えない。
「って言うか師匠…前々から思ってたんですが、その話し方…おかしくないですか?」
「はぁ?別に俺が喋りてぇように喋ってんだから、他はどうでもいいっての。」
「その話し方だから、女性は恐がって寄ってこないんじゃないですか…。」
 ヴィルベルトは何だか疲れた様に言った。
 確かに、ルーファスの容姿は人並み以上である。街中に入れば目立つことこの上ないのだが、如何せんこの口調である。女性から声をかける…など有り得ない。
「別にいいじゃねぇか。女なんてのは面倒この上ねぇしな。直ぐ泣くし怒り出すし…その上優しくしてやりゃ嫉妬深くなるしでな。相手なんぞしてられっかよ。」
「師匠…何だか枯れてます…。」
「うっせえ!そんじゃ、お前はどうなんだ?叔母上なんて"ヴィルベルトの奴…まさか男色ではあるまいな?"なんて言ってたぜ?」
「止めて下さい!全く…師匠の方こそどうなんですか?別に女性が苦手って訳ではないんですよね?」
 ルーファスのペースにつられそうになり、ヴィルベルトは顔を引き攣らせながら言った。
 ヴィルベルトはこれでも青春真っ只中ではある。そう言う話に興味がないと言えば嘘になるが、やはり生真面目なその性格にそぐわないのが現状である。
 尤も…ルーファスはそうと知っていて面白がっているのであるが…。
「そりゃ、以前は色んなタイプの女と付き合ったぜ?ま、大半は中身より顔と体目的だったけどよ。」
「その言い方…なんか嫌です。」
「そんなこと言って…ヴィー、お前まだなんだろ?」
 ルーファスがそれこそ嫌な笑みを見せて言ってきたため、ヴィルベルトはジトッと半眼になって言い返した。
「そんなことどうでもいいです。それより、これからの旅程はどうするんですか?予定通りにいけば、目的地まで後一月半といったところですが。」
「お前、強制的に話変えたな…。そうか…まだなんだな…。」
「そこ!そんな憐れむ
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